A1

マオリ語の家族の呼び方

Whānau

この記事は、Settemila Lingueのマオリ語文法ツリーの一部です。

まず押さえること

マオリ語では、母は māmā/whaea、父は pāpā/matua、子どもは tamaiti、複数の子どもは tamariki といいます。Ko Mere tōku māmā. は「メレは私の母です」、E rua āku tamariki. は「私には子どもが二人います」という意味です。きょうだいの呼び方では、日本語の「兄・姉・弟・妹」と異なり、年齢だけでなく、基準になる人と同性か異性かも重要になります。

家族の語を学ぶと何が話せるか

家族の語彙は、初級の A1 段階から、写真を見せたり、身近な人を紹介したりするときに使えます。ただし、単語を日本語と一対一で結び付けるだけでは不十分なところもあります。「私の母」と「私の娘」では「私の」に当たる形が変わり、「子ども」は一人と複数で語そのものが変わります。

また、whānau は「家族」を表しますが、父母と子どもだけに限られる語ではありません。祖父母、おじ・おば、いとこなどを含む、より広いつながりを指すことがあります。日本語の「家族」よりも「親族を含む家族のまとまり」と考えた方が、場面を理解しやすいこともあります。

まずは「誰が自分にとってどんな家族か」を短い文で言えるようにしましょう。きょうだいの詳しい区別や、家族関係を広く捉える用法は、基本の紹介文を覚えたあとで確認すれば十分です。

語の選び方と文の組み立て方

1.基本となる家族の語

次の語は名詞(人や物などの名前を表す語)です。日本語訳は最初の手掛かりですが、実際の意味は文脈によって広がるものもあります。

マオリ語 日本語 覚えておきたい点
whānau 家族、親族を含む家族のまとまり 同居している人だけとは限りません。
māmā 母、お母さん 身近な母の呼び方として使います。
whaea 母、母親 母以外の女性への呼び掛けにも使われます。
pāpā 父、お父さん 身近な父の呼び方として使います。
matua 父、親 文脈によって「父」または「親」を表します。
tamaiti 子ども一人 性別を限定しません。
tamariki 子どもたち tamaiti に対応する複数の形です。
tama 息子、男の子 「息子」か「男の子」かは文脈によります。
tamāhine 娘 親から見た娘を表します。
kuia 祖母、年配の女性 必ずしも話し手の祖母を指すわけではありません。
koroua 祖父、年配の男性 必ずしも話し手の祖父を指すわけではありません。
tuakana 同性の年上のきょうだい 男性から見た兄、女性から見た姉です。
teina 同性の年下のきょうだい 男性から見た弟、女性から見た妹です。

kuia だけを見て必ず「私の祖母」と判断しないようにしましょう。tōku kuia「私の祖母」のように、誰との関係なのかが分かる表現にすると意味が明確になります。koroua も同じです。

2.「誰が私の母か」を伝える

家族を名前と結び付けて紹介するときには、次の形が使えます。

Ko + 名前 + tōku + 家族の語。

  • Ko Mere tōku māmā. — メレは私の母です。
  • Ko Hemi tōku pāpā. — ヘミは私の父です。

Ko は、人の名前などを示して「誰なのか」を明らかにする文で使います。日本語の「です」をそのまま置き換える語ではありません。この形では、文末に「です」に当たる語を追加する必要はありません。

名前の代わりに ia「その人」を使うこともできます。

Ko ia tōku koroua. — その人は私の祖父です。

ia は代名詞(名前の代わりに人などを指す語)で、それ自体は「彼」と「彼女」を区別しません。この例を「彼は私の祖父です」と訳せるのは、koroua が祖父を表しているためです。

「誰ですか」と尋ねるときは、名前の部分を wai「誰」にします。

Ko wai tō māmā? — あなたのお母さんは誰ですか。

ここでの tō は、相手一人についての「あなたの」です。日本語では「お母さんは?」だけでも通じますが、マオリ語の学習では tō māmā をひとまとまりで覚えておくと安心です。

3.「私の」は家族関係によって形が違う

所有表現(「私の」「あなたの」のように、誰に属するか・誰と関係するかを示す表現)には、大きく a 系列と o 系列があります。家族を紹介する段階では、まず次の組み合わせを覚えましょう。

マオリ語 日本語 この場面での使い分け
tōku māmā 私の母 母には o 系列を使います。
tōku pāpā 私の父 父も同じ系列です。
tōku kuia 私の祖母 祖父母も同じ系列です。
tōku tuakana 私の同性の年上のきょうだい きょうだいも同じ系列です。
tāku tamaiti 私の子ども一人 自分の子どもには a 系列を使います。
tāku tama 私の息子 息子も同じ系列です。
tāku tamāhine 私の娘 娘も同じ系列です。
āku tamariki 私の子どもたち 子どもが複数なので āku になります。

日本語の「私の」は、後ろが母でも娘でも変わりません。その感覚で一つの形を使い回さないことが大切です。反対に、マオリ語の形の違いを「母は大切だが娘はそうではない」といった感情の差に結び付ける必要もありません。ここでは家族関係に応じて系列が決まっています。

また、tōku/tāku は後ろに来る人や物が一つの場合、ōku/āku は複数の場合に使う形です。「私」が一人か複数かを示す違いではありません。例えば ōku mātua は「私の両親」であり、「私たちの親」ではありません。

4.「子どもが二人います」と人数を伝える

E rua āku tamariki. — 私には子どもが二人います。

この文では rua が「二」を表し、āku tamariki が「私の子どもたち」を表します。「私には……がいる」という意味を、このように人数と所有表現を組み合わせて伝えられます。

初めは次の対比を声に出して覚えると便利です。

  • Kotahi tāku tamaiti. — 私には子どもが一人います。
  • E rua āku tamariki. — 私には子どもが二人います。
  • E toru āku tamariki. — 私には子どもが三人います。

kotahi「一つ、一人」は、ここでは E を付けません。二人以上の例と、出だしが異なることにも注意しましょう。

単数(一人・一つ)から複数(二人以上・二つ以上)になると、tāku → āku と tamaiti → tamariki の両方が変わります。なお、マオリ語の名詞がすべてこのように変化するわけではありません。tamaiti/tamariki は、特に覚えておきたい組です。

5.きょうだいは「誰から見た関係か」を確認する

日本語では「姉」は、話し手が男性でも女性でも年上の女性のきょうだいです。ところが、マオリ語の基本的な呼び分けでは、基準となる人との性別の関係が重要です。

マオリ語 日本語で表すと 基準となる人との関係
tuakana 男性から見た兄/女性から見た姉 同性で年上
teina 男性から見た弟/女性から見た妹 同性で年下
tungāne 女性から見た兄・弟 異性。語だけでは年上・年下を区別しません。
tuahine 男性から見た姉・妹 異性。語だけでは年上・年下を区別しません。

例えば、女性が自分の姉について話すなら tōku tuakana、男性が自分の姉について話すなら tōku tuahine です。「姉だからいつも tuakana」ではありません。

Ko wai tō tuakana? は、相手が男性なら「あなたのお兄さんは誰ですか」、相手が女性なら「あなたのお姉さんは誰ですか」と訳せます。文そのものに日本語の「兄」か「姉」かを区別する印があるわけではありません。

場面で確かめる例文

家族写真を見せる、友人の家族について尋ねる、自分の子どもの人数を話す、といった場面を想像して読んでください。きょうだいの訳には、誰の立場で話しているかを補っています。

マオリ語 日本語 読み取るポイント
Ko Mere tōku māmā. メレは私の母です。 名前を挙げて母を紹介しています。
Ko Hemi tōku pāpā. ヘミは私の父です。 父にも tōku を使います。
Ko wai tō whaea? あなたのお母さんは誰ですか。 名前を尋ねる形です。
Ko ia tōku koroua. その人は私の祖父です。 ia 自体は男女を区別しません。
Ko Ani tōku kuia. アニは私の祖母です。 誰の祖母かを tōku で示します。
Ko wai tō tuakana? あなたの同性の年上のきょうだいは誰ですか。 相手によって「兄」「姉」と訳し分けます。
Ko Rangi tōku tuakana. ランギは私の兄です。 男性が自分の兄を紹介する場面です。
Ko Hana tōku teina. ハナは私の妹です。 女性が自分の妹を紹介する場面です。
Ko Hemi tōku tungāne. ヘミは私の兄です。 女性が話す場面です。年上という情報は文脈によります。
Ko Mere tōku tuahine. メレは私の姉です。 男性が話す場面です。年上という情報は文脈によります。
Ko Hana tāku tamāhine. ハナは私の娘です。 自分の娘なので tāku を使います。
Ko Rangi tāku tama. ランギは私の息子です。 息子にも tāku を使います。
Kotahi tāku tamaiti. 私には子どもが一人います。 一人の場合は tamaiti です。
E rua āku tamariki. 私には子どもが二人います。 複数の場合は āku tamariki です。
Kei te kāinga tōku whānau. 私の家族は家にいます。 kei te kāinga は「家にいる」という居場所を表します。

Ko wai …? は「誰か」を尋ねる質問です。「お母さんはどんな人ですか」という性格の質問や、「お母さんは元気ですか」という体調の質問とは違います。日本語の訳に「誰」を入れてみると、何を尋ねているかが確認できます。

よくある間違い

1.娘にも tōku を使ってしまう

  • 誤り: Ko Hana tōku tamāhine.
  • 訂正: Ko Hana tāku tamāhine.
  • 理由: 「私の娘」という通常の家族関係では a 系列の tāku を使います。tōku māmā「私の母」と対にして覚えましょう。

これは、この二つの形を覚えるための対比です。「人には必ず o 系列」と一般化すると、自分の子どもについて誤った形を選んでしまいます。

2.人数だけを変えて、子どもの形を変えない

  • 誤り: E rua āku tamaiti.
  • 訂正: E rua āku tamariki.
  • 理由: 子どもが二人以上なので tamariki を使います。tamaiti は一人です。

また、E rua tāku tamariki. では、人数と tāku の組み合わせが合いません。「二人」は E rua āku tamariki. と、全体で確認してください。

3.女性のきょうだいなら、誰でも tuakana と呼ぶ

  • 誤り: 男性が自分の姉を紹介して、Ko Mere tōku tuakana.
  • 訂正: Ko Mere tōku tuahine.
  • 理由: tuakana は同性の年上のきょうだいです。男性から見た姉・妹は tuahine です。

同じ Ko Mere tōku tuakana. でも、女性が自分の姉を紹介しているなら適切です。単語だけの正誤ではなく、関係を確認する必要があります。

4.「両親」を単数の matua のままにする

  • 誤り: ōku matua を「私の両親」のつもりで使う。
  • 訂正: ōku mātua
  • 理由: matua「親、父」に対して、親が複数の場合は mātua という形を使います。

ā の上の線は、長母音(長く発音する母音)を示します。飾りではなく、語の形を区別する大切な記号です。māmā、pāpā、whānau、tamāhine なども、線を省略せずに書く習慣を付けましょう。

5.ia を必ず「彼」と訳す

  • 誤り: Ko ia tōku māmā. を「彼は私の母です」とする。
  • 訂正: 「その人は私の母です」、または場面に応じて「彼女は私の母です」。
  • 理由: ia 自体に男女の区別はありません。日本語の代名詞を機械的に当てはめず、家族の語と場面から判断します。

実際に使うときの注意

「母・お母さん」の区別とは重ならない

日本語では、家族以外の人に自分の親のことを話すときは「母」、直接呼ぶときは「お母さん」と言い分けることがあります。この使い分けを、そのまま whaea/māmā に当てはめることはできません。

māmā、pāpā は身近な呼び方として使われますが、「自分の親を他人に紹介するときには使ってはいけない」という日本語式の規則はありません。基本例文の Ko Mere tōku māmā. も、母を紹介する文です。家庭や地域での呼び方に触れながら、よく使われる形を覚えていくとよいでしょう。

whaea は必ずしも実母ではない

whaea は母を意味するほか、女性の先生や年長の女性などへの呼び掛けとして使われることがあります。例えば Whaea Mere を見聞きしても、その人が話し手の母だとは限りません。名前と一緒に使われているのか、tōku whaea「私の母」と関係を示しているのかを確認しましょう。

同じように、kuia、koroua は、年配の人を指す語としても現れます。日本語の「おばあさん・おじいさん」にも親族としての意味と、年配の人を指す使い方があるので、この点は比較しやすいでしょう。ただし、相手への呼び方として何が適切かは、その場の関係や慣習によります。

人の数と、家族というまとまりを分けて考える

whānau は家族というまとまりを表します。tōku whānau に家族が何人も含まれていても、ただちに「複数の家族」を意味する形にする必要はありません。一つの家族について話すのか、複数の家族について話すのかを区別します。

一方、tamariki は子どもが複数であることを表します。「大人も子どもも全員」を意味する whānau と、「子どもたち」を意味する tamariki は、場面に合わせて選びましょう。

一歩進んだ理解:家族関係を広く捉える

ここからは、初めの段階で使いこなす必要はありません。家族の語が出てくる文章や会話を読むときに、基本の日本語訳だけでは捉えきれない用法があることを知っておきましょう。

きょうだい語が指す範囲は実のきょうだいだけではない

tuakana、teina、tungāne、tuahine は、文脈によって、いとこなど同じ世代の親族関係にも使われます。そのため、これらの語が出てきたからといって、必ず「同じ両親を持つきょうだい」だと決め付けることはできません。

まずは本記事の基本表で、同性・異性と年上・年下の区別を理解してください。そのうえで、実際の親族関係は whakapapa「系譜、祖先からのつながり」や周囲の説明によって確かめます。日本語の家系図の分類を、そのまま一語ずつ重ねるよりも、話し手がどんなつながりを示しているかを読む姿勢が役に立ちます。

他人の家族について話すときは、基準になる人が変わる

tōku tuakana では、自分が関係の基準です。しかし、他人の家族について述べる場合は、その人を基準に考えます。

Ko Mere tōna tuakana. — メレは、その人の同性の年上のきょうだいです。

tōna は「その人の」という意味です。持ち主・関係者が女性なら通常「その人の姉」、男性なら通常「その人の兄」と読み取ります。今話している自分の性別で判断するわけではありません。

tuakana と teina が学び合いの関係を表すこともある

tuakana–teina という組み合わせは、経験のある人が、経験の浅い人を支える学び合いの関係を表すときにも使われます。この場合、文脈によっては実際のきょうだいでも、単純な年齢順でもありません。

教育についての文章で見かけたら、直ちに「兄と弟」と訳すよりも、「経験のある側と学ぶ側の支え合い」を表しているか確認すると理解しやすくなります。家族の基本語から広がった用法として知っておけば十分です。

所有表現は家族以外にも広がる

本記事では tōku māmā と tāku tamaiti のような家族関係に絞って学びました。しかし、a 系列・o 系列の区別は、食べ物、衣類、住まい、乗り物などについて話すときにも現れます。

家族で覚えた対応を、そのままあらゆる名詞に適用できるわけではありません。「自分で選んだものなら常に a 系列」などの一つの説明だけで決めず、よく使う組み合わせを増やしていくのが確実です。まずは tōku māmā、tōku tuakana、tāku tamāhine、āku tamariki が迷わず言えれば、家族紹介の土台はできています。

自習の進め方

1.家族図に「誰から見た呼び名か」を書く

実在の家族でも架空の家族でもかまいません。名前を四、五人分書き、一人を基準にして māmā、pāpā、tuakana、teina などを付けます。次に基準となる人を変え、同じ人物の呼び名が変わるか確認してください。

特に、男性から見た姉は tuahine、女性から見た姉は tuakana という対比を、図の上で確かめると定着しやすくなります。単語の裏に「姉」とだけ書く暗記方法は避けましょう。

2.紹介文と質問を一組で練習する

Ko wai tō māmā? — Ko Mere tōku māmā.「あなたのお母さんは誰ですか。— メレは私の母です」のように、尋ねる側と答える側を交互に声に出します。次に māmā を pāpā、kuia、koroua に替えてください。

娘や息子の紹介に進むときは、単語だけでなく tōku → tāku も変える必要があることを確認します。文全体で練習すると、所有表現を取り違えにくくなります。

3.一人・二人・三人を切り替える

Kotahi tāku tamaiti. → E rua āku tamariki. → E toru āku tamariki. を、人数を思い浮かべながら読みます。「人数」「私の」「子ども」の三か所をそれぞれ確認してください。

書いて練習するときは、最後に ā、ō などの長母音の線を見直しましょう。単語だけでなく、tāku、āku、tōku の線も意味を見分ける助けになります。

関連する学習項目

  • マオリ語の文法一覧 — 家族の表現と組み合わせて使う文の仕組みを探せます。
  • 人称代名詞 — 「私」「あなた」「その人」の言い方を整理し、ia の使い方を確認できます。
  • 所有の二つの系列 — tōku と tāku の違いを、家族以外の語にも広げて学べます。

その他のA1の概念

この概念を他の言語で見る

すべての言語で比較する