A1

ヨルバ語の数と数え方

Ònkà

この記事は、Settemila Lingueのヨルバ語文法ツリーの一部です。

まず押さえること

ヨルバ語では、ものの数を表すとき、基本的にものの名前の後ろに数を置きます。たとえば ọmọ méjì は「子ども2人」、ilé mẹ́ta は「家3軒」です。伝統的な数の体系は20を軸にしており、11以上では足し算だけでなく引き算の発想も使いますが、まずは1〜10をものの名前と組み合わせて覚えれば十分に使い始められます。

数え方の全体像

日本語では「2人の子ども」「子どもが2人いる」のように、数を置く場所が変わり、「人・匹・軒・個」といった助数詞も必要になります。ヨルバ語の基本的な数量表現は、それより簡潔です。名詞(人やものの名前)の後ろに、数詞(数を表す言葉)を続けます。「2人」か「2軒」かによって、日本語のように毎回別の助数詞を選ぶ必要はありません。

ただし、数の単語をひとつ知れば、どんな場面でもその形のまま使えるわけではありません。数を単独で挙げる形と、ものの数量を表す形には違いがあります。たとえば、2を表す èjì に対し、「子ども2人」は ọmọ méjì と言います。A1の段階では、仕組みを細かく分解するよりも、実際に使う méjì、mẹ́ta、mẹ́rin などをまとまりで覚えるのが近道です。

さらに、日本語の「十一、十二、十三……」から予想しにくいのが、15〜19の作り方です。ヨルバ語では20を基準に、「20より5少ない」「20より4少ない」という発想が現れます。計算の意味を理解しつつ、完成した語を音と一緒に覚えましょう。話すたびに暗算をする必要はありません。

数の形と組み立て方

1〜10:まずは数量を表す形から

次の表は、名詞の後ろに置いて数量を表すときの形です。数え歌や数の一覧では別の形に出会うこともありますが、日常の「いくつ買うか」「何人いるか」には、この表が役立ちます。

数 数量を表す形 日本語での意味
1 kan 1つ、1人など
2 méjì 2つ、2人など
3 mẹ́ta 3つ、3人など
4 mẹ́rin 4つ、4人など
5 márùn-ún 5つ、5人など
6 mẹ́fà 6つ、6人など
7 méje 7つ、7人など
8 mẹ́jọ 8つ、8人など
9 mẹ́sàn-án 9つ、9人など
10 mẹ́wàá 10個、10人など

kan は、名詞の後ろで「1つの」を表す基本形です。一方、数そのものの「1」は ọ̀kan です。たとえば ilé kan は「家1軒」、ọ̀kan は単独での「1、1つ」に当たります。文脈によっては ilé kan が「ある家」という意味になることもありますが、最初は「名詞+kan」で1つを表せる、と覚えましょう。

2、3についても、èjì → méjì、ẹ̀ta → mẹ́ta の違いに気づけると便利です。ただし、すべての数に同じ文字を足せばよい、と一般化しないでください。母音や声調も含めて変わるため、表の形をそのまま身につけます。

語順は「何を+いくつ」

基本の組み合わせは次のとおりです。

  • ọmọ méjì:子ども2人
  • ilé mẹ́ta:家3軒
  • ẹja mẹ́wàá:魚10匹

ọmọ は「子ども」、ilé は「家」、ẹja は「魚」です。これらの名詞の後ろに数を置いても、名詞自体に日本語の「たち」に当たるものを必ず付けるわけではありません。数が2以上なら、それだけで複数だと分かります。

日本語の「2人の子ども」をそのままの順番で置き換えるのではなく、頭の中で「子ども、2人」と言い直すと、ヨルバ語の語順を作りやすくなります。「魚を10匹買った」でも、「魚、10匹」というまとまりを保ちます。

なお、助数詞を細かく使い分けないことと、単位が不要であることは別です。「水を2本」「米を3袋」のように、容器や袋の数を言いたい場合には、その容器や単位を表す言葉が必要です。数だけでは、何を1つとして数えたのか分からないことがあります。

11〜14:10に足す形

11〜14は、10に1〜4を足した数として理解できます。ただし、書くときは日本語の説明に合わせて語をばらばらにつなぐのではなく、決まった形を使います。

数 数量を表す形 覚えるための計算
11 mọ́kànlá 10+1
12 méjìlá 10+2
13 mẹ́tàlá 10+3
14 mẹ́rìnlá 10+4

たとえば ẹyin méjìlá は「卵12個」です。日本語では「十二」を「十+二」の順で組み立てますが、ヨルバ語の語形をその順に並べ直すことはできません。表の右の計算は、意味を理解するための補助です。実際に口にするのは真ん中の完成した形です。

15〜19:20から引く形

15〜19では、今度は20から不足分を引きます。「10を越えたら全部足し算」ではない点が、この数え方の大きな特徴です。

数 数量を表す形 覚えるための計算
15 mẹ́ẹ̀dógún 20−5
16 mẹ́rìndínlógún 20−4
17 mẹ́tàdínlógún 20−3
18 méjìdínlógún 20−2
19 mọ́kàndínlógún 20−1

16〜19に共通する dín は、ここでは「少ない、差し引く」という意味の手掛かりになります。18の méjìdínlógún なら「20より2少ない」と考えます。「2」という部分が聞こえたから12だ、と早合点しないことが大切です。

15の mẹ́ẹ̀dógún は、16〜19の見た目からそのまま予測しにくい形です。規則に無理に当てはめず、まず1語として覚えましょう。また、この表は名詞の後ろで使える数量の形を示しています。数の名称を単独で列挙する資料では、語頭の形が異なるものも見られます。

20と、その先の足場

ogún が20です。ヨルバ語の伝統的な数え方を「二十進法」と呼ぶのは、20を大きな区切りとして数を組み立てるためです。「二十進法」は、20を1まとまりとして考える仕組み、という意味です。ただし、10や30といった途中の区切りも使うので、すべてが単純な「20×何個」になるわけではありません。

数 数の形 位置づけ
20 ogún 大きな区切りとなる20
21 mọ́kànlélógún 20に1を足した数
22 méjìlélógún 20に2を足した数
30 ọgbọ̀n 20と40の間の区切り
40 ogójì 20が2まとまり
60 ọgọ́ta 20が3まとまり
80 ọgọ́rin 20が4まとまり

21、22の lé は、ここでは「上乗せする」という意味を読み取る手掛かりです。18の méjìdínlógún と22の méjìlélógún を並べると、同じ「2」と「20」が関わっていても、引くか足すかで答えが変わることが分かります。

最初から大きな数をすべて暗記するより、10、20、30、40という足場を先に作り、その前後を覚えるほうが実用的です。特に18・19・20・21・22を続けて練習すると、20の手前と先の違いを聞き分けやすくなります。

声調と文字も数の一部

ヨルバ語の声調は、音節ごとの声の高さの違いです。一般に、鋭いアクセント記号の á は高い声調、à は低い声調、記号のない a は中間の声調を示します。これは、日本語で単に強く読む場所を示す記号ではありません。

また、e と ẹ、o と ọ はそれぞれ異なる母音です。下の点は飾りではありません。たとえば mẹ́ta を覚えるときは、文字列だけでなく、母音と声の高さを含むひとまとまりとして練習します。

márùn-ún、mẹ́sàn-án などの表記を見て、末尾の母音を省いたり、書かれた母音をすべて別々の拍で読んだりしないようにしましょう。文字だけで発音を確定するより、音声を聞き、同じ長さと高さの流れをまねるほうが確実です。本記事の表記では、声調記号も学習に必要な情報として残しています。

場面の中で使ってみる

数量のまとまりだけでなく、短い文の中でも確認しましょう。Ó は、ここでは「彼/彼女」を指します。ヨルバ語のこの形自体は男女を区別しないため、日本語訳では文脈に合うように訳しています。

ヨルバ語 日本語 見るポイント
Mo ní ọmọ méjì. 私には子どもが2人います。 人の数も名詞の後ろに置く。
Mo rí ilé mẹ́ta. 家を3軒見ました。 家でも同じ数量の形を使う。
Ó ra ẹja mẹ́wàá. その人は魚を10匹買いました。 「魚10匹」がまとまりになる。
Mo fẹ́ ẹyin mẹ́fà. 卵が6個欲しいです。 欲しい数量を伝える。
Mo ra ìwé kan. 本を1冊買いました。 名詞の後ろの「1」は kan。
Mo ní ìwé márùn-ún. 本を5冊持っています。 5の数量の形を確認する。
Ó ra ẹyin méjìlá. その人は卵を12個買いました。 12は10に2を足す範囲。
Mo ní ìwé mẹ́ẹ̀dógún. 本を15冊持っています。 15は完成した形で覚える。
Ó ra ẹyin méjìdínlógún. その人は卵を18個買いました。 20より2少ない数。
Mo ní ìwé ogún. 本を20冊持っています。 20が数え方の大きな区切り。
Ó ra ẹyin méjìlélógún. その人は卵を22個買いました。 20に2を足した数。
Ọmọ mélòó ni o ní? お子さんは何人いますか。 数量を尋ねる mélòó。
Ẹja mélòó ni o fẹ́? 魚は何匹欲しいですか。 欲しい品物の数を尋ねる。
Mélòó ni? いくらですか。 買い物の文脈では値段を尋ねられる。

mélòó は「いくつ、どれだけ」を尋ねる言葉です。ọmọ mélòó は「子どもが何人」、ẹja mélòó は「魚が何匹」というまとまりになります。ただし、文全体を疑問文にするときは、単純に数を入れ替えるだけでなく、上の例のような構造も使います。最初は Ẹja mélòó ni o fẹ́? を「魚は何匹欲しいですか」というひとつの型として覚えると便利です。

なお、「子どもは何人いますか」は家族の話題で使う表現です。初対面の相手に必ず尋ねる定型文、というわけではありません。数の練習をするときも、実際の会話では相手との関係や話題に合わせて使いましょう。

よくある間違い

1. 日本語の「2人の子ども」の順に並べる

  • 誤り: 数量のまとまりとしての méjì ọmọ
  • 正しくは: ọmọ méjì「子ども2人」
  • 理由: 通常の数量表現は「名詞+数」です。日本語の「2人の」を先に置く感覚を、そのまま持ち込まないようにします。

2. 単独の数の形を、そのまま名詞に付ける

  • 誤り: ọmọ èjì
  • 正しくは: ọmọ méjì「子ども2人」
  • 理由: 数を挙げる形と、数量を表す形を区別します。èjì だけを覚えるのではなく、ọmọ méjì のようなまとまりでも覚えましょう。

3. 18と22を取り違える

  • 誤り: 18のつもりで méjìlélógún と言う。
  • 正しくは: méjìdínlógún「18」
  • 理由: dín は20から引く側、lé は20に足す側の手掛かりです。méjìlélógún 自体は正しい数ですが、意味は22です。語頭の「2」だけで判断しないでください。

4. 数が複数だから、必ず àwọn を足す

  • 避けたい考え方: 「子どもが2人だから、àwọn ọmọ méjì としないと複数にならない。」
  • 基本形: ọmọ méjì「子ども2人」
  • 理由: 2という数だけで複数だと分かります。àwọn ọmọ méjì も文脈によって使えますが、àwọn は単なる必須の複数語尾ではありません。「その2人の子どもたち」のように、どの集まりかを意識させることがあります。

5. 人やものの数を、そのまま値段にしてしまう

  • 誤解: ẹja mẹ́wàá を「10ナイラ分の魚」と解釈する。
  • 正しくは: ẹja mẹ́wàá は「魚10匹」。
  • 理由: 数えているのは魚そのものです。値段なら、お金の単位や値段を述べる文脈が必要です。市場では「品物の数」と「支払う額」を分けて確認しましょう。

実際に使うときの注意

「何個」と「いくら」は文脈で区別する

Mélòó ni? は、買い物中に品物を示して言えば「いくらですか」と理解されます。しかし mélòó 自体が常に「値段」を意味するわけではありません。Ẹja mélòó ni o fẹ́? では欲しい魚の数を尋ねています。

注文では、まず品物と数量を伝え、次に金額を確かめると混乱が減ります。たとえば「卵6個が欲しい」と言う練習と、「いくらですか」と尋ねる練習を別々にしてから、ひとつのやり取りにつなげてみましょう。魚なら匹数、卵なら個数、と日本語訳で変わっても、ヨルバ語の基本構造は変わりません。

表記の違いと、自分が使う形を分ける

日常の短いメッセージでは声調記号が省略されることがあります。また、数の一覧、数え上げ、ものの数量の説明では、提示される語形が同じとは限りません。別の資料で違う形を見かけたら、まず「数そのものを挙げているのか、名詞に付いているのか」を確かめてください。

学習中は、記号を省いた綴りから発音を推測するより、声調付きの形と音声を対応させるのがおすすめです。読み手が文脈から補えることと、学習者が発音を省略してよいことは別です。

数だけで丁寧さは決まらない

日本語では「卵6個」だけを店員に告げると、場面によってはぶっきらぼうに聞こえます。ヨルバ語でも、数量の形そのものが丁寧さを表すわけではありません。ここで学ぶのは「何をいくつ」という中身の組み立て方です。実際の買い物では、あいさつや相手への呼び掛け、頼み方も合わせて身につけましょう。

もう一歩先へ:大きな数・順番・数の並び

ここからは、1〜20の数量表現に慣れてから読めば十分です。「数」という同じ分野でも、ものの個数、順番、番号では使い方が異なります。

大きな数は、20の区切りと中間の区切りを意識する

40の ogójì、60の ọgọ́ta、80の ọgọ́rin を見ると、20を複数まとめる考え方が分かります。一方で、50や70のような数では、次の20のまとまりから10少ない、という考え方が関わります。したがって、日本語の「五十=五×十」という組み立てをそのまま当てはめることはできません。

大きな金額を読むときは、基本の数だけでなく、金額全体としての言い方にも慣れる必要があります。最初から知らない数を規則だけで即席に作るより、よく使う価格や数量を、実際の発音と一緒に少しずつ覚えるほうが安全です。足し算・引き算の説明は、完成した語を理解しやすくする道具として使いましょう。

「3つ」と「3番目」は別の形

個数を表す数を基数、並び順を表す数を序数と言います。難しく考える必要はなく、「本が3冊」と「3冊目の本」の違いです。ヨルバ語でも同じ形をそのまま流用するのではありません。

ヨルバ語 日本語 区別
ìwé mẹ́ta 本3冊 個数を表す。
ìwé kẹta 3番目の本 順番を表す。
ìwé kejì 2番目の本 2冊あるという意味ではない。
ìwé àkọ́kọ́ 最初の本 「最初」は固有の形を覚える。

mẹ́ta と kẹta は似ていますが、意味は違います。「3番目」を言うつもりで mẹ́ta を使うと、冊数の話になります。日付や順番の言い方に進むときは、個数を表す基本形とは別のまとまりとして学びましょう。

電話番号は、ひとつの大きな数量ではない

電話番号や識別番号では、桁を順番に読み上げる場面があります。これは「魚を18匹買う」ときの18とは役割が違います。たとえば1と8が続く番号を、必ず「18」というひとつの数として読むとは限りません。

番号を伝える練習では、数量の表だけに頼らず、単独で数字を読み上げる形や、0の言い方も別途確認しましょう。数量を表す形を覚えた後で、この用途の違いを知っておくと、「知っている数なのに聞き取れない」という戸惑いを減らせます。

練習のこつ

  1. 身近なものを使い、「ものの名前+数」で声に出す。 本なら ìwé kan、ìwé méjì、ìwé mẹ́ta と増やしてみましょう。次に名詞を ẹja に替えます。日本語の助数詞は「冊」から「匹」に変わりますが、ヨルバ語の数の形はそのままです。数だけの暗記と、実際の語順の練習を結び付けられます。

  2. 18と22、19と21を対にして覚える。 最初は紙に「20−2」「20+2」と書き、それぞれ méjìdínlógún、méjìlélógún を対応させます。慣れたら計算式を隠し、数を見てすぐ言う練習に切り替えます。意味を理解する段階と、ひとまとまりで取り出す段階を分けるのがコツです。

  3. 数量と値段を別々に確認する会話を作る。 Ẹja mélòó ni o fẹ́?「魚は何匹欲しいですか」に対して Mo fẹ́ ẹja mẹ́ta.「魚が3匹欲しいです」と答え、次に Mélòó ni?「いくらですか」と尋ねます。録音して、mẹ́ta の母音や声調、長い数の途中が曖昧になっていないかを音声資料と比べましょう。

関連する文法・表現

  • 市場と買い物 — 欲しい品物と数量を伝え、値段を確かめる場面へ進めます。まず1〜10の数量表現を使えるようにしてから取り組むと、会話に集中しやすくなります。

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