日本語の「です・だ」―基本の形と使い分け
です・だ
この記事は、Settemila Lingueの日本語文法ツリーの一部です。
まず押さえること
「学生です・学生だ」「静かです・静かだ」のように、名詞やな形容詞で文を終えるとき、丁寧な形には「です」、普通の形には「だ」を使います。名詞は人や物などの名前、な形容詞は「静かな部屋」のように「な」を付けて名前を説明できる言葉です。ただし、すべての文で「です」を「だ」に変えられるわけではなく、「高いです」の普通の形は「高い」であって、「高いだ」ではありません。
「です・だ」で何を伝えるか
「これは本です」は、目の前の物が何かを伝える文です。「この部屋は静かです」は、部屋がどんな状態かを伝えます。このように、物事の正体や性質を述べる働きをする「です・だ」は、コピュラ(何が何であるかを結び付ける表現)と呼ばれることがあります。最初は、この名前よりも「本です」「元気です」のようなまとまりを覚えるほうが役立ちます。
初級の入り口では、自己紹介や物の説明に使う「です」から学びます。「私は学生です」「今日は日曜日です」など、短くても日常で必要なことが伝えられます。次に「だ」を知ると、親しい人との会話や、日記・説明文で使う形が分かるようになります。
大切なのは、内容と、相手への話し方を分けて考えることです。「学生です」と「学生だ」は、学生であるという内容は同じです。ただし、相手との関係や文章の種類によって、自然に聞こえる形が違います。以下では基本の形を先に確認し、文の途中での変化などは後半で扱います。
文の作り方と形の変化
1.名詞とな形容詞に付ける
基本の形は「話題+は+説明+です/だ」です。「は」は、これから何について話すかを示す助詞(言葉の後ろに付いて、その役割を示す短い言葉)で、「わ」と読みます。
| 説明に使う言葉 | 丁寧な形 | 普通の形 |
|---|---|---|
| 名詞「学生」 | 私は学生です。 | 私は学生だ。 |
| 名詞「日曜日」 | 今日は日曜日です。 | 今日は日曜日だ。 |
| な形容詞「元気」 | 母は元気です。 | 母は元気だ。 |
| な形容詞「静か」 | この町は静かです。 | この町は静かだ。 |
丁寧体は「です・ます」を使って話す文の形、普通体は「だ・行く・高い」などを使う文の形です。「普通体」は文法上の名前であり、「いつでも誰にでも使ってよい」という意味ではありません。
な形容詞の「な」は、後ろの名詞を説明するときに使います。文末、つまり文の終わりでは「元気です」「静かだ」とし、「元気なです」「静かなだ」とはしません。
また、毎回「私は」「これは」を入れる必要はありません。話題が分かっていれば、「学生です」「元気です」だけでも十分です。「お仕事は何ですか」「会社員です」のように、質問の答えでは特に短い形が自然です。
2.否定・過去の形を覚える
否定は「そうではない」と伝える形、過去は前の時点のことを伝える形です。「です」「だ」をそのまま残して後ろに何かを足すのではなく、下のように文末を変えます。
| 伝えたい内容 | 丁寧体 | 普通体 |
|---|---|---|
| 今の事実・状態 | 学生です | 学生だ |
| 今の否定 | 学生ではありません/学生ではないです | 学生ではない |
| 過去の事実・状態 | 学生でした | 学生だった |
| 過去の否定 | 学生ではありませんでした/学生ではなかったです | 学生ではなかった |
「学生」を「元気」に替えても、同じ形が使えます。「元気です→元気でした」「元気ではない→元気ではなかった」のようになります。
会話では「では」が「じゃ」になることがよくあります。「学生じゃない」「元気じゃないです」「休みじゃありませんでした」は、いずれも自然な形です。「じゃ」は会話的な言い方なので、改まった案内や文章では「では」を選ぶと無難です。
「ではないです」は誤りではありません。「ではありません」は、より改まった場面で使いやすい形です。まず一つの組み合わせを確実に使えるようにしてから、言い方を増やしましょう。
3.現在形でも、これからの予定を言える
「です・だ」の形そのものには、現在と未来の区別がありません。文法では、過去ではない形を非過去形(今のことにも、これからのことにも使う形)と呼びます。
- 今日は休みです。――今日の予定や状態。
- 明日は休みです。――これからの予定。
- 昨日は休みでした。――過ぎた日のこと。
「明日」があるからといって、「です」を特別な未来の形に変える必要はありません。一方、過去の事実を普通に報告するなら「でした/だった」を使います。
4.質問は「ですか」、親しい会話では別の形も使う
丁寧にたずねる基本形は「ですか」です。語順は変えません。
- これは本です。→これは本ですか。
- 今日は日曜日です。→今日は日曜日ですか。
- 元気です。→元気ですか。
普通体の会話では、「これ、本?」「今日は休み?」のように、「だ」を付けずに、声を上げてたずねることがよくあります。「今日は休みなの?」も自然ですが、こちらには「の」を使って事情をたずねる働きがあります。
「学生だか?」は、この基本的な質問の作り方としては誤りです。「学生か?」は形として成り立ちますが、場面によってはぶっきらぼうに響きます。初対面なら「学生ですか」を選びましょう。「だろうか」などの別の表現は、後で区別して覚えれば十分です。
5.い形容詞と動詞には、そのまま「だ」を付けない
い形容詞は、「高い・寒い・忙しい」のように、それだけで性質や状態を言い切れる言葉です。動詞は「行く・食べる」のように、動きや出来事などを表す言葉です。どちらも、名詞と同じ方法では文を作りません。
| 文を終える言葉 | 丁寧体 | 普通体 |
|---|---|---|
| 名詞 | 休みです | 休みだ |
| な形容詞 | 静かです | 静かだ |
| い形容詞 | 寒いです | 寒い |
| 動詞 | 行きます | 行く |
「寒いです」の「です」は、丁寧さを添えています。普通体では「寒いだ」ではなく「寒い」です。また、過去は「寒かったです」であり、「寒いでした」ではありません。「行くです」「行くだ」も基本の文としては使いません。
注意したいのは、「きれい」「嫌い」です。最後の音が「い」でも、な形容詞なので、「きれいです・きれいだ」「嫌いです・嫌いだ」となります。「きれいな部屋」「嫌いな食べ物」という形で確かめられます。
場面の中で確かめる例文
日本語を日本語で学ぶため、次の表では別の言語への訳ではなく、例文が伝える内容をやさしく言い換えています。誰が、どんな場面で話しているかにも注目してください。
| 例文 | 意味の言い換え | 場面・ポイント |
|---|---|---|
| これは本です。 | 目の前の物は本です。 | 物が何かを丁寧に説明する。 |
| 私は学生だ。 | 自分は学生である。 | 普通体。日記や文章でも使う。 |
| 元気ですか? | 体の調子などはよいですか。 | 親しい相手への丁寧な問いかけ。 |
| 今日は日曜日です。 | 今日の曜日は日曜日です。 | 暦の情報を伝える。 |
| こちらは受付です。 | ここで案内や手続きの対応をします。 | 建物の中を案内する。 |
| この部屋は静かです。 | この部屋では音があまり気になりません。 | な形容詞で状態を述べる。 |
| 明日は休みだ。 | 明日は仕事や授業がありません。 | これからの予定を普通体で言う。 |
| あの店は昔、映画館でした。 | 今は店ですが、以前は映画館でした。 | 名詞を使って過去を説明する。 |
| ここは出口ではありません。 | 出口はここではなく、別の所です。 | 案内や注意書きに合う否定。 |
| 昨日は暇じゃなかった。 | 昨日は時間に余裕がありませんでした。 | 親しい会話で使う過去の否定。 |
| 「この席、空いていますか」「すみません、予約席です」 | この席は予約した人のための席です。 | 答えでは、分かっている話題を省く。 |
| 「これ、誰の傘?」「私のだよ」 | その傘は私の傘です。 | 「私の」で「私の傘」を表す。 |
「こちらは受付です」の「こちら」は、場所や人などを丁寧に指す言葉です。「私は学生です」以外にも、場所・時間・持ち主など、いろいろな説明に同じ文の形が使えます。
よくある間違い
1.丁寧体を、全部「だ」に置き換える
- 誤り: このかばんは高いだ。
- 正しくは: このかばんは高い。/このかばんは高いです。
- 理由: 「高い」はい形容詞です。「だ」は付けません。「便利です→便利だ」とは作り方が違います。
2.な形容詞の「な」を文末にも残す
- 誤り: この町は静かなです。
- 正しくは: この町は静かです。
- 理由: 「な」は「静かな町」のように、名詞の前で使います。文を終えるときは「静か+です/だ」です。
3.「です」に「ない」を直接付ける
- 誤り: 私は先生ですない。
- 正しくは: 私は先生ではありません。/私は先生ではないです。
- 理由: 名詞の否定は「名詞+ではない」が土台です。会話では「先生じゃないです」とも言えます。
4.過去の普通体に「です」を重ねる
- 誤り: 昨日は休みだったです。
- 正しくは: 昨日は休みでした。
- 理由: 名詞の過去を丁寧に言う基本形は「でした」です。「寒かったです」の形を、そのまま名詞に当てはめないようにします。「休みだったんです」という説明の形は別にあります。
5.普通体の質問にも「だ」を残す
- 誤り: これ、あなたの傘だか?
- 正しくは: これはあなたの傘ですか。/これ、あなたの傘?
- 理由: 初級の疑問文は「ですか」、親しい会話なら「だ」を省いた形が基本です。「だ+か」で作ろうとしないでください。
6.存在を伝えるときも「です」だけで済ませる
- 意図に合わない形: 机の上に本です。〔本がそこにあると言いたい場合〕
- 正しくは: 机の上に本があります。
- 理由: 「何か」は「本です」、その物が「あるか・どこにあるか」は「本があります」で伝えます。「本は机の上です」は自然ですが、これは本の場所を答える言い方です。
相手や場面に合わせた使い方
「だ」は、それだけで失礼というわけではない
「です」は、初対面の人や、丁寧に対応したい相手との会話で使いやすい形です。ただし、相手の立場を高める尊敬語(相手の行動などを敬って言う表現)そのものではありません。例えば「先生です」は丁寧な言い方ですが、「先生でいらっしゃいます」は、さらに相手を敬う言い方です。初級では、まず「です」を落ち着いて使えれば十分です。
「だ」は、親しい会話、独り言、日記、説明文などで使います。「だ」だけで文を終えると、内容をはっきり言い切る感じが出ることもあります。しかし、「普通体は失礼」「丁寧体は必ず優しい」という単純な関係ではありません。声の調子や、前後の言葉も大切です。
親しい会話では「これ、便利」「明日、休み」のように「だ」を省くこともよくあります。逆に「明日は休みだよ」のように「よ」を添えることもあります。「よ」は知らせる気持ち、「ね」は相手と確かめ合う気持ちなどを加える終助詞(文末で話し手の気持ちを添える言葉)です。
「元気ですか」は、相手を選ぶ
「元気ですか」は、しばらく会っていなかった友人などに、調子をたずねるときに自然です。毎日会う人へのあいさつとして、いつも言う必要はありません。目上の人には、場面に応じて「お元気ですか」など、より丁寧な言い方を選びます。
「元気です」は丁寧体、「元気だ」は普通体ですが、「元気ですか」を単純に「元気だか」に変えることはできません。話し方を変えるときは、一語だけではなく文全体の形を確認しましょう。
文章の文末は、基本の調子をそろえる
案内文や手紙では「です・ます」、説明的なレポートでは「だ・である」など、文章ごとに文末の調子を決めると読みやすくなります。「この町は静かです。交通も便利だ」のように、理由なく行き来するのは避けましょう。
ただし、人の発言をそのまま示すときなどは別です。「弟は『明日は休みだ』と言いました」は、「だ」が発言の中にあり、文全体は丁寧体なので問題ありません。
慣れてから学ぶ発展的な使い方
ここからは、文をつないだり、考えを述べたりするときの形です。最初から全部覚える必要はありません。「文末の『だ』が、文の途中では別の形になることがある」と分かれば、読むときの助けになります。
名詞の前では「だ」をそのまま置かない
ある言葉が後ろの名詞を説明することを、名詞を修飾すると言います。名詞とな形容詞では、このときの形が違います。
| 使う言葉 | 文を終える形 | 名詞の前の基本形 |
|---|---|---|
| 名詞「学生」 | あの人は学生だ。 | 学生の生活 |
| な形容詞「静か」 | この部屋は静かだ。 | 静かな部屋 |
| な形容詞「元気」 | あの人は元気だ。 | 元気な人 |
「学生だ人」「静かだ部屋」とはしません。名詞の関係は「の」、な形容詞が名詞を説明するときは「な」が基本です。ただし、「の」は「学生の生活」のように所属や関係を示すもので、どこでも「だ」の代わりになるわけではありません。
過去や否定では、「学生だった人」「静かではない部屋」のように、その形を名詞の前に置けます。もっと改まった文章には「学生である人」という形もあります。
「で」で文をつなぐ
「だ」の仲間には、後ろに説明を続けるための「で」という形があります。
- 妹は学生で、今は大阪に住んでいます。
- この部屋は静かで、勉強に向いています。
- この店は駅の近くで、便利です。
最初の例は、妹について「学生であること」と「大阪に住んでいること」を並べています。二つ目は静かなことが、勉強に向く理由とも受け取れます。ただし、「で」そのものがいつでも理由を表すとは限りません。
ここでの「で」は、「駅で待ちます」のように動作の場所を示す「で」とは働きが違います。前後の言葉も見て判断します。
「と思う・と言う」の前では普通体を使う
自分の考えを述べるときには、「便利だと思います」「今日は休みだと思います」と言います。「と思います」の直前は普通体なので、名詞とな形容詞には「だ」を残すのが基本です。
- あの人は先生だと思います。
- この方法は便利だと思います。
- このかばんは高いと思います。
最後の「高い」はい形容詞なので、ここでも「だ」を付けません。文の最後が「思います」なら、文全体は丁寧な話し方です。途中に「だ」があるだけで、普通体の会話になるわけではありません。
「先生です」と実際に言った言葉をそのまま引用するなら、「彼は『先生です』と言いました」も正しい形です。引用と、考えの内容を表す形を分けて考えましょう。
「なのです・なんです」で事情を説明する
「のです」は、理由や背景を説明したり、相手が気にしていることに答えたりする形です。会話では「んです」がよく使われます。名詞とな形容詞の今の肯定形では、「だ」ではなく「な」になります。
- 今日は休みなのです。→今日は休みなんです。
- この場所は静かなのです。→この場所は静かなんです。
- 昨日は休みだったんです。
「今日は休みです」は予定をそのまま伝えます。「今日は休みなんです」は、例えば「どうして家にいるのですか」と聞かれたときに、その事情を説明できます。いつも「なんです」にしたほうが丁寧になるわけではありません。
「休みなです」「休みだんです」は誤りです。また、「高いんです」「行くんです」のように、い形容詞や動詞にはこの「な」を入れません。
条件を示す「なら」、予想を示す「だろう」
条件とは、「その場合には」と考えることです。「学生なら、割引があります」「暇なら、少し話しませんか」のように、「なら」を使えます。この基本形では「学生だなら」「暇だなら」としません。
「明日は休みだろう」「明日は休みでしょう」の「だろう・でしょう」は、確かな事実として言い切るのではなく、予想や判断として述べる形です。「でしょう」は、相手と確かめ合う意味でも使います。どちらも、単に文を丁寧にするためだけの置き換えではありません。
書き言葉の「である」と、改まった「でございます」
「である」は、説明文や論説文などで使われる、改まった普通体の表現です。「この問題は重要である」のように、客観的に説明する調子を作ります。「重要である」は「重要です」より相手に丁寧なのではなく、文章の調子が違います。
一方、「受付はこちらでございます」は、接客や改まった案内などで使う非常に丁寧な言い方です。親しい会話で多用すると、距離を感じさせることがあります。まず「です・だ」を使い分け、その後で必要な場面の表現として学びましょう。
練習の進め方
- 同じ言葉で四つの形を作る。 「学生・休み・静か」を使い、「休みです→休みではありません→休みでした→休みではありませんでした」と声に出します。次に普通体でも言い、最後に「忙しい」を入れて、い形容詞だけ作り方が違うことを確かめます。
- 相手を決めて言い換える。 「明日は休みです」「ここは静かです」を、初対面の人に伝える場面と、親しい友人に伝える場面で練習します。友人には「明日、休みなんだ」「ここ、静かだね」なども使えますが、まずは基本形から始めます。
- 聞きながら文末と文中を分けて拾う。 会話や案内文から「です・でした・じゃない」を一つずつ探します。慣れたら「便利だと思います」「静かな部屋」も集め、「文を終える形」と「後ろにつなぐ形」を別々に記録すると、使い分けが整理できます。
関連する文法
- い形容詞 — 「高いです」と「高い」の関係や、名詞とは違う否定・過去の形を学びます。
- な形容詞 — 「静かだ・静かな部屋・静かに話す」のような形の違いを整理します。
- 終助詞 — 「だよ・だね・ですか」など、文末で伝わり方を調整する表現を学びます。
- 書き言葉(である体) — 説明文や論説文で使う「である」と、文章全体の調子を詳しく確認します。