スウェーデン語の不定詞構文
Infinitivkonstruktioner
この記事は、Settemila Lingueのスウェーデン語文法ツリーの一部です。
まず押さえること
för att + 不定詞は「〜するために」、utan att + 不定詞は「〜せずに」、istället för att + 不定詞は「〜する代わりに」を表します。不定詞とは、hjälpa(手伝う)、säga(言う)のような、時制に合わせて変化させる前の動詞の形です。この三つの構文では、後ろの動作を誰がするのかを文脈から判断するのが大切で、ふつうは前の動作と同じ人が行います。
全体像:二つの行動のつながりを表す
「早く帰った」だけでは、なぜ帰ったのか、何をしないまま帰ったのかは分かりません。「子どもを迎えに行くために早く帰った」「同僚に声をかけずに帰った」のように、行動同士の関係を添えるのが、ここで扱う不定詞構文です。構文とは、単語を組み合わせて一定の意味を表す文の型をいいます。
A1で学ぶ att läsa(読むこと)のような基本を土台に、B2では目的、伴わなかった行動、別の選択肢まで表せるようにします。中心になるのは för att、utan att、istället för att の三つです。あわせて、Det är svårt att förstå.(理解するのは難しいです)のように、行為の難しさなどを述べる型も確認します。
日本語では「連絡せずに帰りました」のように、誰が連絡し、誰が帰ったのかを言わなくても自然です。一方、スウェーデン語では、主語(誰・何について述べるのかを示す部分)を文の中心に置き、不定詞の動作との関係を読み取ります。日本語の「〜するために」を一語ずつ置き換えるのではなく、誰が、何を、どんな関係で行うかを先に考えましょう。
作り方と意味
三つの型をまとめて覚える
次の表では、構文の後ろに置いた動詞はいずれも不定詞です。
| スウェーデン語 | 日本語 | 働き |
|---|---|---|
| Jag kom för att hjälpa. | 私は手伝うために来ました。 | 来た目的を示す。 |
| Han gick utan att säga hejdå. | 彼はさよならも言わずに立ち去りました。 | 伴わなかった行動を示す。 |
| Istället för att klaga, gör något. | 文句を言う代わりに、何かしなさい。 | しない行動と、代わりにする行動を対比する。 |
| Det är svårt att förstå. | 理解するのは難しいです。 | 行為に対する評価を述べる。 |
för att hjälpa の中では、för att がひとまとまりです。基本形の att hjälpa をさらにそのまま足して、för att att hjälpa とはしません。また、「来ました」が過去の話でも、後ろの hjälpa を過去形には変えません。
för att:何のためにするのか
中心となる文 + för att + 不定詞で、その行動の目的を添えます。中心となる文を主節と呼びます。
- Vi åkte till biblioteket för att låna böcker.
本を借りるために図書館へ行きました。 - Hon sparar pengar för att kunna resa nästa sommar.
彼女は来年の夏に旅行できるよう、お金を貯めています。
二つ目では kunna(できる)が不定詞で、その後ろに resa(旅行する)が続いています。kan(できる)のような助動詞、つまり別の動詞に可能・義務などの意味を添える語も、この位置では kunna の形になります。
för att が示すのは目的であり、目的が達成されたことまでは保証しません。「本を借りるために図書館へ行った」と言っても、休館で借りられなかった可能性はあります。
utan att:何をしないままなのか
主節 + utan att + 不定詞は「〜せずに」「〜することなく」です。実際に行った行動に対して、普通なら伴いそうな行動や、予想された行動がなかったと述べます。
- Hon svarade utan att tveka.
彼女はためらわずに答えました。 - Jag gick hem utan att köpa något.
私は何も買わずに帰りました。
utan 自体に「〜なしで」という意味があるため、単純な「買わずに」は utan att köpa です。日本語の「買わない」の感覚で inte(〜ない)を足す必要はありません。
また、この型は必ずしも「わざとしなかった」という意味ではありません。utan att märka det(それに気づかずに)のように、意識していなかったことにも使えます。
istället för att:何をする代わりなのか
istället för att + 不定詞は、選ばなかった行動を示します。実際に選んだ行動は主節で述べます。
- Vi lagade mat hemma istället för att gå ut och äta.
外食する代わりに、家で料理しました。 - Istället för att ringa skickade jag ett meddelande.
電話する代わりに、メッセージを送りました。
istället för att ringa は「電話をするために別の場所へ」という意味ではなく、「電話はせず、別の方法を選んだ」という意味です。綴りは i stället för att も使われ、意味は同じです。
動作をする人を確認する
この三つの型では、不定詞の直前に独立した主語を置かないのが基本です。通常、その動作をする人は主節の主語と同じです。
- Mika stannade kvar för att hjälpa Anna.
ミカはアンナを手伝うために残りました。
残ったのも、手伝うのもミカです。アンナは手伝ってもらう人であり、hjälpa の動作をする人ではありません。
ただし、目的の動作を別の人が行う場合には、för att + 主語 + 時制のある動詞という、別の作り方があります。
- Jag öppnade dörren för att katten skulle kunna gå ut.
猫が外へ出られるように、私はドアを開けました。
開けたのは「私」、出るのは「猫」です。katten という主語と、過去の場面に合わせた skulle を使っています。このような、別の文の一部として働く文を従属節と呼びます。ここでは「猫が外へ出られるように」の部分です。
för att katten gå ut のように、主語を足しただけで動詞を不定詞のままにすることはできません。
文の先頭に置く場合の語順
不定詞のまとまりは、前にも後ろにも置けます。
- Jag tar tåget för att slippa köra.
運転しなくて済むように、私は電車を使います。 - För att slippa köra tar jag tåget.
運転しなくて済むように、電車を使います。
二つ目では、文の最初を För att slippa köra が占めるため、主節は tar jag の順になります。スウェーデン語の平叙文、つまり質問ではない普通の文では、時制のある動詞を二番目のまとまりに置くのが基本です。最初のまとまりが長くても、この位置は変わりません。
Istället för att klaga, gör något.(文句を言う代わりに、何かしなさい)は命令文です。「何かしなさい」と相手に促す文なので、gör の前に du(あなたは)を置く必要はありません。
否定は att の後ろに置く
目的の行動を否定する場合は、ふつう för att inte + 不定詞とします。
- Jag skrev ner adressen för att inte glömma den.
住所を忘れないように書き留めました。
「忘れないために」は、忘れることを避ける目的です。一方、次の文は単に「忘れなかった」という状況を表します。
- Jag kom fram utan att gå vilse.
道に迷わずに着きました。
för att inte と utan att は、日本語では似た訳になることがあっても同じではありません。目的なのか、実際の行動に伴わなかったことなのかで選びます。
svårt att:行為を評価する型
Det är svårt att förstå. の att förstå は、目的ではなく「理解するという行為」を表します。det は、後ろに置いた行為を先に受ける、文の形を整えるための語です。
- Det är svårt att förstå instruktionerna.
その説明を理解するのは難しいです。 - Det är viktigt att läsa avtalet.
契約書を読むことが大切です。
svårt(難しい)、lätt(簡単な)、viktigt(大切な)など、性質や評価を表す形容詞が使えます。「難しいために理解する」のではないので、ここに目的の för を足しません。
誰にとって難しいのかは、för mig(私にとって)などで明示できます。
- Det är svårt för mig att förstå dialekten.
私にはその方言を理解するのが難しいです。
この för は för mig の一部であり、目的の för att とは別です。
場面別の例文
買い物、仕事、移動などの場面で、何と何がつながっているかを確認しましょう。
| スウェーデン語 | 日本語 | 読み取るポイント |
|---|---|---|
| Jag tog med en tygpåse för att slippa köpa en plastpåse. | ビニール袋を買わなくて済むように、布の袋を持っていきました。 | 避けたい手間を目的として示す。 |
| Vi bokade ett bord för att vara säkra på att få plats. | 確実に席を取れるよう、テーブルを予約しました。 | 予約の目的を述べる。 |
| Hon gick upp tidigt för att hinna med tåget. | 彼女は電車に間に合うよう早起きしました。 | 後ろの動詞も不定詞。 |
| Jag stängde av mobilen för att inte bli störd. | 邪魔されないよう、携帯電話の電源を切りました。 | 否定する語は不定詞の前。 |
| Han läste hela rapporten utan att ta en paus. | 彼は休憩を取らずに報告書を全部読みました。 | 休憩を伴わなかった。 |
| Jag skickade meddelandet utan att kontrollera adressen. | 宛先を確認せずにメッセージを送りました。 | 確認しないまま行った。 |
| Hon gick förbi utan att känna igen mig. | 彼女は私だと気づかずに通り過ぎました。 | 意図的にしなかったとは限らない。 |
| Vi pratade med varandra istället för att fortsätta mejla. | メールを続ける代わりに、直接話しました。 | 別の連絡方法を選んだ。 |
| Istället för att ta hissen gick jag uppför trapporna. | エレベーターに乗る代わりに、階段を上りました。 | 最初のまとまりの後は動詞、主語の順。 |
| Kan vi laga den istället för att köpa en ny? | 新しいものを買う代わりに、それを修理できませんか。 | 提案にも使える。 |
| Det är svårt att koncentrera sig här. | ここでは集中するのが難しいです。 | 行為の難しさを述べる。 |
| Det är lätt att glömma hur mycket tid det tar. | それにどれだけ時間がかかるか、つい忘れがちです。 | 簡単な行為というだけでなく、起こりやすさも表せる。 |
slippa は「望ましくないことをしなくて済む」、hinna は「時間内にできる」という動詞です。日本語の「〜ように」をスウェーデン語で表すとき、このような動詞を組み合わせると意味を具体的にできます。
よくある間違い
1. att を二重にする
- 誤り: Jag kom för att att hjälpa.
- 正しくは: Jag kom för att hjälpa.
私は手伝うために来ました。
för att にすでに att が含まれています。utan att や istället för att でも同じです。
2. 不定詞を過去形に変える
- 誤り: Han gick utan att sa hejdå.
- 正しくは: Han gick utan att säga hejdå.
彼はさよならも言わずに立ち去りました。
sa は säga の過去形です。主節の gick が過去の出来事を示していても、utan att の後ろでは säga を使います。
3. 「〜せずに」に inte を足す
- 意図した意味には不適切: Hon gick utan att inte säga något.
- 「何も言わずに出ていった」なら: Hon gick utan att säga något.
utan にすでに「〜なしで」という意味があります。utan att inte という並びがどんな場合も不可能なわけではありませんが、否定が重なり、単純な「言わずに」とは違う意味になります。
4. 文頭のまとまりの後を「主語+動詞」にする
- 誤り: För att spara tid jag tar tåget.
- 正しくは: För att spara tid tar jag tåget.
時間を節約するために、私は電車を使います。
日本語では「時間を節約するために、私は……」と続けますが、スウェーデン語では、最初のまとまりの後にまず tar を置きます。
5. 別の人の動作なのに、主語を省いた型にする
- 「私が話せるように」という意味では不適切: Hon stängde dörren för att kunna prata ostört.
- その意味なら: Hon stängde dörren för att jag skulle kunna prata ostört.
私が邪魔されずに話せるように、彼女はドアを閉めました。
最初の文自体は正しい文ですが、自然には「彼女自身が話せるように」と読まれます。日本語訳で省いた「私が」を、スウェーデン語でも省けるとは限りません。
6. 「難しい」に目的の för att を使う
- 誤り: Det är svårt för att förstå instruktionerna.
- 正しくは: Det är svårt att förstå instruktionerna.
その説明を理解するのは難しいです。
理解すること自体が難しいので、svårt att を使います。「理解するには難しすぎる」という別の型は、発展事項で確認します。
使い方の補足
日常会話でも文章でも使える
三つとも、会話、メール、報告書などで広く使えます。不定詞構文だからといって堅い表現になるわけではありません。たとえば utan att tänka(考えずに)、för att se(見るために)のような短い形は日常的です。
一方、同じ文に不定詞のまとまりをいくつも重ねると、誰が何をするのか追いにくくなります。日本語の「〜するために〜する代わりに……」が読みにくいのと同じです。長くなったら二文に分けてもかまいません。
istället för att は言い方によって批判にもなる
Istället för att klaga, gör något.(文句を言う代わりに、何かしなさい)は、相手が文句ばかり言っていると責める響きがあります。文法の型自体が失礼なのではなく、選択肢の示し方と命令がその響きを生みます。
提案なら Kan vi prata istället för att skriva?(書く代わりに話せませんか)のように、問いかけの形にすると柔らかくなります。
日本語の「〜ように」だけで判断しない
「忘れないようにメモした」は目的ですが、「何も言わないで出ていった」は状況の説明です。まず日本語を「何のために?」「何をせずに?」「何の代わりに?」と言い換えてみると、型を選びやすくなります。
また、utan att は二つの出来事の単なる時間的な順序を示す表現ではありません。「買う前に帰った」ではなく、「買わずに帰った」という行動の欠如が中心です。
発展:似た形を見分ける
主語のある för att:目的と理由
för att の後ろに主語と時制のある動詞が続く場合、目的を表すことも、理由を表すこともあります。
- Jag talar långsamt för att alla ska förstå.
全員が分かるように、ゆっくり話します。 - Jag stannade hemma för att jag var sjuk.
病気だったので、家にいました。
最初は「理解してもらうこと」を目指した目的、二つ目は「病気だったこと」が原因です。ska や skulle は目的の節でよく使いますが、形だけで機械的に判定せず、行動の意図なのか、すでにある事情なのかを確認しましょう。
utan att にも主語のある形がある
utan att も、主語と時制のある動詞を伴う節を導けます。
- Han gick utan att någon märkte det.
誰にも気づかれずに、彼は立ち去りました。
立ち去った人と、気づくはずだった人は別です。これは utan att märka det(気づかずに)のような不定詞の型とは区別します。
ただし、同じ動作主なら必ず不定詞、別の動作主なら必ず節と機械的に割り切ることはできません。同じ人を明示した節も文脈によって使えますし、行為者を明示しない受け身の文もあります。自分で文を作るときは、まず「同じ人なら不定詞、別の人を明示するなら主語のある節」を出発点にするのが安全です。
genom att:何を手段にするのか
目的と混同しやすいのが、手段を表す genom att + 不定詞です。
- Hon övade varje dag för att förbättra sitt uttal.
発音をよくするために、彼女は毎日練習しました。 - Hon förbättrade sitt uttal genom att öva varje dag.
毎日練習することで、彼女は発音をよくしました。
för att は「目指したこと」、genom att は「どうやって行ったか」を表します。前者では改善が実現したとは限らず、後者では練習を手段として改善したと述べています。日本語の「〜することで」が目的のように感じられる場合も、この違いを意識しましょう。
完了した行動を表す ha + supinum
「それ以前にしていた/していなかった」をはっきり示すため、att ha + supinum という形を使うことがあります。supinum は、läst(読んだ)のように、完了の意味を作る har や ha と組み合わせる動詞の形です。
- Hon skrev under utan att ha läst avtalet.
彼女は契約書を読まないまま署名しました。 - Istället för att ha sparat pengar hade jag köpt onödiga saker.
お金を貯めておく代わりに、私は不要なものを買ってしまっていました。
utan att läsa avtalet でも「契約書を読まずに」と言えます。utan att ha läst avtalet は、署名の時点より前に読むことが済んでいなかった点をはっきりさせます。主節が過去形だから自動的にこの形にするのではなく、出来事の前後関係を示す必要があるときに使います。
不定詞も受け身にできる
受け身とは、「誰かがする」側ではなく「される」側から出来事を述べる形です。不定詞でも使えます。
- Han gick därifrån utan att bli sedd.
彼は誰にも見られずに、その場を立ち去りました。 - Dokumentet skickades till juristen för att granskas.
その書類は、審査を受けるために弁護士へ送られました。
bli sedd は「見られる」、granskas は「審査される」です。後者では、送られたものも審査されるものも書類ですが、実際に審査を行うのは人です。「同じ人が二つの動作をする」という初めの説明を、受け身の文にそのまま当てはめないようにしましょう。
för…för att:程度を表す別の型
次の二文は見た目が似ていますが、意味が違います。
- Texten är svår att förstå.
その文章は理解するのが難しいです。 - Texten är för svår för att förstå utan hjälp.
その文章は難しすぎて、助けなしでは理解できません。
二つ目の för svår は「難しすぎる」です。後ろの för att förstå は目的ではなく、その程度では理解できないことを表しています。「難しい」なら svår att、「難しすぎて〜できない」なら för svår för att と、まず意味を分けて覚えましょう。
また、Texten är svår att förstå. では、文章が何かを理解するのではありません。texten は理解される対象です。Det är svårt att förstå texten.(その文章を理解するのは難しいです)と言い換えると、意味が分かりやすくなります。
練習のしかた
- 同じ一日を三つの関係で書く。 「買い物に行った」を出発点に、目的なら för att köpa mjölk(牛乳を買うために)、しなかったことなら utan att köpa något(何も買わずに)、別の選択なら istället för att handla på nätet(ネットで買い物する代わりに)を組み合わせます。接続部分だけで出来事の見え方がどう変わるか確認しましょう。
- 動作をする人を日本語で書き添える。 自作した各文について「行く=私、買う=私」のように確認します。人が変わる文も作り、för att barnen ska kunna…(子どもたちが〜できるように)のような主語のある形と対比してください。
- 語順と否定を一緒に練習する。 Jag tog en taxi för att inte komma för sent.(遅刻しないようにタクシーに乗りました)を、För att inte komma för sent tog jag en taxi. と書き換えます。inte の位置が変わらないことと、主節が tog jag になることを声に出して確かめましょう。
関連する文法項目
- 前提となる基本: att を使う不定詞 — 不定詞の形と、att を使って行為をひとまとまりにする基本を復習できます。この基本に、目的・状況・選択の意味を加えたものが今回の中心です。