A1

スウェーデン語の det finns:「ある・いる」の表し方

Det finns

この記事は、Settemila Lingueのスウェーデン語文法ツリーの一部です。

まず押さえること

Det finns … は、「〜がある・いる」と、その存在を伝える表現です。Det finns en katt i trädgården. は「庭に猫がいます」で、人や動物にも、物にも同じ形を使います。質問は Finns det …?、否定は Det finns inte … が基本で、あるものが一つでも複数でも finns は変わりません。

この表現でできること

旅行先で近くの銀行を探す、家の設備を説明する、会議の空席を確認する。こうした場面では、「何かがあるかどうか」を伝える表現が欠かせません。スウェーデン語では det finns がその中心になります。A1で学ぶ形ですが、予定の選択肢や問題の有無など、目に見えないものについても広く使えます。

日本語では「駅の近くにコンビニがあります」のように、まず場所を示して話すことがよくあります。スウェーデン語では、最初は Det finns + あるもの・いる人 + 場所 という順番で覚えると作りやすくなります。また、日本語の「ある」と「いる」の使い分けを、そのままスウェーデン語に持ち込む必要はありません。

もう一つ大切なのは、「猫がいる」と「その猫はどこにいる」を区別することです。まだ話題に出ていない猫の存在を知らせるなら det finns、すでに話題になっている猫の居場所を答えるなら Katten är … が自然です。単に日本語の「ある・いる」を一語ずつ置き換えるのではなく、存在を知らせるのか、既知のものについて説明するのかに注目しましょう。

文の作り方

1.基本は det finns + 存在するもの

Det finns en bank i närheten. は「近くに銀行があります」です。文を次のように分けると、組み立て方が見えてきます。

  • Det:文の形を整えるための語。ここでは「それ」と訳しません。
  • finns:存在することを表す動詞(動作や状態を表す語)。
  • en bank:存在を知らせるもの。「銀行が一つ」。
  • i närheten:場所。「近くに」。

この det は形式主語(文を成立させるために主語の位置を埋める語)です。主語とは、ふつう「誰が・何が」に当たる文の中心の要素ですが、この構文の det は具体的な物を指していません。日本語訳に現れなくても、スウェーデン語では省かずに使います。

Det finns kaffe. は「コーヒーがあります」です。必ず場所を付けなければならないわけではありません。どこにあるかが会話から分かる場合や、あるかどうかだけを伝えたい場合は、存在するものだけで文が完成します。

2.一つでも複数でも finns のまま

スウェーデン語の動詞は、主語の人数や数によって形を変えません。この構文でも、一つのものを挙げる場合と複数のものを挙げる場合で finns を変える必要はありません。

スウェーデン語 日本語 注目点
Det finns en stol här. ここに椅子が一脚あります。 一つのもの
Det finns två stolar här. ここに椅子が二脚あります。 複数でも finns
Det finns ett bord här. ここにテーブルが一つあります。 ett が付く語でも det は同じ
Det finns vatten här. ここに水があります。 数を数えずに述べるもの

en、ett は冠詞(名詞の前に付いて、その扱い方を示す短い語)の一種です。名詞とは、人・物・事柄の名前を表す語です。初めて話に出す「一つの〜」には、en stol や ett bord のような形を使います。どちらを付けるかは名詞ごとに覚えますが、文頭の det を den に変える理由にはなりません。

日本語では「椅子があります」だけでは数が分からなくても自然です。一方、スウェーデン語で数えられるものを一つ挙げるときは、通常 en stol のように冠詞を付けます。複数なら stolar、数を明示するなら två stolar です。

3.質問は Finns det …?

「ありますか・いますか」と尋ねる疑問文では、finns を det の前へ出します。日本語の「か」に当たる語を文末に足すのではなく、語順そのものを変えます。

  • Det finns en bank i närheten. — 近くに銀行があります。
  • Finns det en bank i närheten? — 近くに銀行はありますか。

短く答えるなら、次の二つが便利です。

  • Ja, det finns det. — はい、あります。
  • Nej, det finns det inte. — いいえ、ありません。

この答えの最後の det は、質問に出た銀行などを受けています。二つの det を一語ずつ日本語に訳そうとせず、答えのまとまりとして覚えましょう。会話では Ja.「はい」、Nej.「いいえ」だけでも答えられます。

4.否定は inte、または ingen・inget・inga

否定文(「〜ない」と述べる文)は、基本的に finns の後ろに inte を置きます。

Det finns inte någon hiss här. — ここにはエレベーターがありません。

「一つもない・誰もいない」のように、存在するもの自体を否定するには、ingen、inget、inga もよく使います。後ろの名詞に合わせて形を選びます。

スウェーデン語 日本語 否定の形
Det finns ingen hiss. エレベーターはありません。 en hiss に対応する ingen
Det finns inget kök. キッチンはありません。 ett kök に対応する inget
Det finns inga lediga rum. 空いている部屋はありません。 複数に対応する inga

Det finns inte någon hiss. と Det finns ingen hiss. は、どちらも自然な言い方です。基本の練習では、inte någon と ingen を別々の選択肢として覚え、理由なく inte ingen と重ねないようにしましょう。

Det finns inte mycket tid. は「あまり時間がありません」です。「完全にない」のか「あるが少ない」のかによって、後ろに続ける表現も変わります。

5.場所を先に置くなら Här finns det …

「ここには」と場所を先に示すこともできます。

  • Det finns en toalett här. — ここにトイレがあります。
  • Här finns det en toalett. — ここにはトイレがあります。

この場合、Här det finns … とはしません。スウェーデン語の主節(単独でも文として使える部分)では、活用した動詞、つまり時を表して形を取る動詞を、原則として二つ目のまとまりに置きます。Här が最初のまとまりになるので、その次が finns、続いて det です。

初めは Det finns … här. を確実に使えれば十分です。場所を先に出す形は、案内板や施設の紹介を読むときにも役立ちます。

場面で覚える例文

次の例では、身近な場所、買い物、予定、物語まで、同じ構文がどのように使えるかを確認できます。最後の過去形は、まず見て意味が分かれば十分です。

スウェーデン語 日本語 場面・ポイント
Det finns en katt i trädgården. 庭に猫がいます。 動物にも使える
Det finns många människor här. ここには大勢の人がいます。 人の存在を伝える
Finns det en bank i närheten? 近くに銀行はありますか。 旅行先で尋ねる
Det finns ett litet kök i lägenheten. そのアパートの部屋には小さなキッチンがあります。 設備を紹介する
Finns det en hiss i huset? その建物にエレベーターはありますか。 建物の設備を確認する
Det finns inga lediga platser på tåget. その列車には空席がありません。 複数のものを否定する
Finns det mjölk i kylskåpet? 冷蔵庫に牛乳はありますか。 食材を確認する
Det finns lite soppa kvar. スープが少し残っています。 残っている量を伝える
Finns det något vegetariskt på menyn? メニューに何かベジタリアン向けの料理はありますか。 選べる料理を尋ねる
Det finns tid för en fika. お茶休憩を取る時間はあります。 目に見えないものにも使う
Det finns ett problem med bokningen. 予約に問題があります。 問題の存在を知らせる
Här finns det gratis wifi. ここでは無料の無線インターネットが使えます。 場所を先に置く
Det finns en annan lösning. 別の解決方法があります。 選択肢を示す
Det fanns en gång en prinsessa. 昔々、あるところにお姫様がいました。 物語の書き出し。fanns は過去形

日本語では、同じ det finns を「ある」「いる」「使える」などと訳し分けています。たとえば無線インターネットの例は、機械の場所を述べるより、利用できるサービスを紹介する文です。訳語を固定するより、「その場に存在する・用意されている」という共通点をつかむと理解しやすくなります。

よくある間違い

1.日本語で訳さない det を省いてしまう

  • 誤り: Finns en bank i närheten.
  • 正しくは: Det finns en bank i närheten. — 近くに銀行があります。
  • 理由: 普通の独立した文として存在を知らせるなら、この構文には det が必要です。質問にしたい場合は Finns det en bank i närheten? とします。

メモや見出しでは省略も見かけますが、初めからそれを日常の文の基本にしないようにしましょう。

2.存在するものに合わせて den に変える

  • 誤り: Den finns en katt i trädgården.
  • 正しくは: Det finns en katt i trädgården. — 庭に猫がいます。
  • 理由: この構文の det は固定された形で、en katt の冠詞には合わせません。

ただし Den finns här.「それはここにあります」という別の文は成り立ちます。こちらの den は、すでに分かっているものを指しています。「文頭はいつも det」と覚えるのではなく、Det finns + 新しく紹介するものという構文の範囲で覚えましょう。

3.一つのものなのに en・ett を付けない

  • 誤り: Det finns bank i närheten.
  • 正しくは: Det finns en bank i närheten. — 近くに銀行があります。
  • 理由: この意味の bank は数えられる名詞なので、一つの銀行を新しく紹介するなら en bank にします。

Det finns vatten.「水があります」のように、通常一個、二個と数えないものには、同じように en を足しません。

4.場所を先に置いても det finns の順番を保ってしまう

  • 誤り: Här det finns en toalett.
  • 正しくは: Här finns det en toalett. — ここにはトイレがあります。
  • 理由: Här を先に置いたら、その直後に finns を置きます。あるいは Det finns en toalett här. とすれば、基本の語順で伝えられます。

5.「ない」を二重に付ける

  • この意味では避ける: Det finns inte inga lediga rum.
  • 正しくは: Det finns inga lediga rum. — 空いている部屋はありません。
  • 理由: inga にすでに「一つも〜ない」の意味があります。単純に空室がないと言いたいときは、さらに inte を重ねません。

6.居場所を尋ねられているのに、新しく存在を紹介する

  • 場面に合わない返答: Var är katten? — Det finns en katt i trädgården.
  • 自然な返答: Katten är i trädgården. — その猫は庭にいます。
  • 理由: Var är katten? は「その猫はどこですか」です。探している猫はすでに話し手にも聞き手にも分かっています。Det finns en katt … 自体は正しい文ですが、「猫が一匹いる」と新しい情報を紹介するため、質問の意図とずれます。

使い分けの目安

det finns と det är は「永久・一時的」だけでは分けられない

最初の目安としては、det finns は存在や設備、det är は様子や状態を述べる、と考えると便利です。ただし、一時的なことには必ず det är を使うという規則ではありません。

Det finns kaffe kvar just nu.「今はまだコーヒーが残っています」のように、その時だけの存在にも det finns を使います。反対に、Det är en bra idé.「それはよい考えです」は、何かの存在ではなく、その評価を述べる文です。

スウェーデン語 日本語 何を伝えるか
Det finns ett kafé vid stationen. 駅のそばにカフェがあります。 カフェの存在
Kaféet är stängt. そのカフェは閉まっています。 すでに分かっているカフェの状態
Det är kallt här. ここは寒いです。 周囲の状態
Det är många människor här i dag. 今日はここに大勢の人がいます。 その場の人出や状況

最後の例のように、人が大勢いる場面には det är も使えます。Det finns många människor här. も正しい文ですが、存在を伝える側面が前に出ます。日本語にするとどちらも「いる」になるため、完全な一対一の対応はありません。まず Finns det en bank …? のような設備や選択肢を尋ねる定型から慣れていきましょう。

物の置き方を言うなら ligger・står・sitter も使う

存在するかどうかではなく、「どこに、どんな状態であるか」を描写する場合は、ligger、står、sitter なども使います。もともと「横たわっている」「立っている」「座っている」に近い意味ですが、物についても自然に使われます。

  • Det finns en bok på bordet. — テーブルの上に本が一冊あります。存在を紹介しています。
  • Boken ligger på bordet. — その本はテーブルの上に置いてあります。話題の本の場所を伝えています。
  • Det står en cykel utanför dörren. — ドアの外に自転車が一台置いてあります。存在を知らせながら置かれ方も表しています。

「ある」をすべて finns に置き換える必要はありません。ただし、これらの動詞を最初からすべて使い分けようとせず、まず det finns で存在を伝えられるようにすれば十分です。

丁寧さは語尾より場面に合う言葉で補う

Finns det …? は、店員や初対面の人にも使える普通の質問です。日本語の「ありますか」に当たる丁寧専用の動詞形はありません。呼びかけを添えるなら、Ursäkta, finns det en bank i närheten?「すみません、近くに銀行はありますか」と言えます。

また、Finns det kaffe? は文法上「コーヒーはありますか」という有無の確認です。会話によっては飲みたい気持ちも伝わりますが、注文や依頼そのものと常に同じではありません。何をしてほしいのかが曖昧な場面では、有無の質問だけで済ませないほうが確実です。

一歩進んだ使い方

ここからは、基本形に慣れてから読み進めれば十分です。文章や少し長い会話で見かける形を整理します。

過去・完了・可能性を表す形

finns は現在の形です。辞書に載る基本形は finnas、過去形は fanns です。語尾の s はこの動詞の形の一部なので、finn にしてはいけません。「誰かに存在させられる」という意味でもありません。

スウェーデン語 日本語 形と使い方
Det finns ett bibliotek här. ここに図書館があります。 現在の存在
Det fanns ett bibliotek här förut. 以前、ここには図書館がありました。 過去形 fanns
Det har funnits ett bibliotek här länge. ここには長い間図書館があります。 過去から今までを見渡す形
Det kan finnas en annan väg. 別の道があるかもしれません。 kan の後は基本形 finnas
Det kommer att finnas fler platser nästa vecka. 来週は空きがもっと出る予定です。 これからの存在
Det skulle finnas plats för två till. あと二人なら入れる余地があるでしょう。 条件を踏まえた見込み

har funnits は現在完了(過去のことを今と結び付けて述べる形)です。funnits は har と組み合わせる形で、har finns とはしません。図書館の例のように期間を添えれば、過去に始まって今も続いていることを表せます。一方、完了形だから必ず今も存在する、という意味ではなく、文脈によっては「存在したことがある」と過去の経験や事実を述べます。

Det fanns en gång en prinsessa. は「昔々、あるところにお姫様がいました」という物語の書き出しです。ここでの en gång は「昔々」に当たるまとまりとして読めます。

「初めて紹介するもの」が基本になる理由

Det finns … の後ろには、一般に en bok「本一冊」、några böcker「何冊かの本」、vatten「水」のような、新しく話題に出すものが来ます。

日本語の「本があります」と「その本はあります」の違いを考えると分かりやすくなります。前者は本の存在を紹介し、後者はすでに分かっている本について答えます。スウェーデン語でも、既知の本の居場所なら Boken ligger på bordet.「その本はテーブルの上にあります」のような文が自然です。

ただし、「det finns の後ろに、特定できるものは絶対に来ない」とまでは言えません。選択肢を列挙したり、候補を思い出したりする場面では、Det finns ju Anna.「アンナという手もありますよ」のように、人名を挙げることがあります。これは単なる居場所の説明ではなく、「候補として存在する」という意味です。初心者はまず、不特定のものを紹介する使い方に集中しましょう。

「〜ということ」の中では inte の位置に注意

文を長くして、別の文の中へ組み込むときは、否定の語順が変わります。従属節(「〜ということ」「〜かどうか」など、ほかの文の一部になるまとまり)では、基本的に inte を活用した動詞の前に置きます。

  • Det finns inte någon hiss. — エレベーターはありません。
  • Jag vet att det inte finns någon hiss. — エレベーターがないことは知っています。
  • Jag undrar om det finns en hiss. — エレベーターがあるかどうか気になっています。

直接質問する Finns det en hiss?「エレベーターはありますか」と、文の中で「あるかどうか」を述べる om det finns en hiss では語順が違います。後者を om finns det … にしないようにします。

det が見えない形もある

Här finns många fina promenadvägar. は「ここにはすてきな散歩道がたくさんあります」です。場所などを前に出した文では、det を置かない形も見られます。案内文や説明文でも自然です。

これは Det finns … の文頭から、いつでも自由に det を削れるという意味ではありません。最初は Här finns det … と Det finns … här. の二つを使い、Här finns … は読んで分かる表現として覚えると安全です。

存在以外の「いてくれる」

Jag finns här för dig. は、単なる「私はここに存在します」ではなく、「そばにいるよ」「力になるよ」と相手を支える言い方です。この文の主語は jag「私」で、形式的な det は使いません。

同じ動詞でも、誰かの存在そのものを伝える場合と、相手への支えを表す場合があります。まず基本の det finns を覚えたうえで、こうしたまとまりは会話の表現として学ぶと、意味を取り違えにくくなります。

練習のしかた

  1. 部屋の設備を三つ紹介する。 目の前の部屋について、Det finns ett bord.「テーブルがあります」、Det finns två stolar.「椅子が二脚あります」のように言ってみます。次に、ないものを一つ選び、Det finns ingen tv.「テレビはありません」と付け加えます。単数、複数、否定を一度に確認できます。
  2. 旅行先の質問と答えを一組にする。 Finns det en bank i närheten?「近くに銀行はありますか」に、Ja, det finns det.「はい、あります」と答える練習をします。銀行をエレベーターやトイレに替え、質問では必ず Finns det の順になることを声に出して確かめましょう。
  3. 「存在」と「そのものの場所」を分けて書く。 Det finns en katt i trädgården.「庭に猫がいます」の次に、Katten är i trädgården.「その猫は庭にいます」と書きます。最初は猫を紹介する文、次は分かっている猫について答える文です。慣れたら最初の文だけを Det fanns … に替え、「いた」という過去の話にもしてみましょう。

関連する文法

前提概念

スウェーデン語の動詞 varaA1

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