A2

オランダ語の数量を表す er:「そのうちの〜個」の言い方

Er (Partitief)

この記事は、Settemila Lingueのオランダ語文法ツリーの一部です。

まず押さえること

すでに話題になっているものについて、名前を繰り返さずに「三つある」「二つ欲しい」と言うとき、オランダ語では通常 er と数量表現を組み合わせます。たとえば、本の冊数を聞かれたら Ik heb er vijf.(五冊持っています)と答えます。この er は「そこに」という場所ではなく、「その種類のものを」というつながりを示す語で、普通の文の中では日本語の感覚で省かないことが大切です。

全体像:日本語の「三つある」に足すもの

日本語では「切手、何枚ある?」「三枚あるよ」と言えば十分です。「切手を」を繰り返さなくても、話の流れから分かります。オランダ語にも同じように繰り返しを避ける仕組みがありますが、数量だけを残した文では、小さな語 er が必要になります。

  • Ik heb drie postzegels. — 切手を三枚持っています。
  • Ik heb er drie. — 三枚持っています。

この用法は 部分を表す er、オランダ語では partitief er と呼ばれます。「ある種類・集まりのものについて、その数を述べる er」という意味です。買い物、家族の人数、残っている食べ物などの話でよく使い、A2段階で身につけたい表現です。「そのうちの」と考えると理解しやすいものの、必ずしも特定の集まりから何かを選び出す場面だけではありません。単に「子どもが三人いる」と人数を答える場合にも使います。

まずは Ik heb er drie.(三つ持っています)、Ik wil er twee.(二つ欲しいです)、Hoeveel heb je er?(いくつ持っていますか)の三つを覚えましょう。後半の発展事項では、存在を表す er との重なりや、「その二つ」と「二つ」の違いを整理します。

仕組みと基本の語順

1.ものの名前を言うか、er を使うか

名詞(人や物の名前を表す語)を数量と一緒に言うなら、その名詞の代わりになる er は必要ありません。名前を繰り返さずに数だけ述べるなら、通常は er を置きます。

オランダ語 日本語 見るところ
Ik koop twee appels. リンゴを二個買います。 何を数えるかを明示している。
Ik koop er twee. 二個買います。 リンゴが話題なら、名前を繰り返さない。
Zij hebben drie kinderen. あの人たちには子どもが三人います。 人数も同じ仕組み。
Zij hebben er drie. あの人たちには三人います。 子どもの人数だと分かる場面。

ここでの er は、人にも物にも使えます。また、数えるものが変わっても形は変わりません。日本語の「冊・枚・人」のように対象に応じた助数詞(数の後につける数え方の語)を選ぶ仕組みとは異なります。er drie 自体には「三冊」「三枚」「三人」の区別はなく、何を数えているかは前の話や目の前の状況で決まります。

2.普通の文では、er は数量より前に置く

最初は次の並びを基本にすると使いやすくなります。

主語 + 動詞 + er + 数量表現

主語は「誰が・何が」に当たる部分、動詞は「持つ・買う」などの動作や状態を表す語です。

  • Ik heb er vijf. — 五つ持っています。
  • We nemen er twee. — 二つにします。
  • Zij koopt er een paar. — 彼女は幾つか買います。

ただし、er と数量は必ず隣り合うわけではありません。途中に「昨日」や「まだ」などが入ることもあります。

  • Ik heb er gisteren drie gekocht. — 昨日、三つ買いました。
  • We hebben er nog twee. — まだ二つあります。

gekocht は「買った」という意味を作る過去分詞(完了した出来事などを表す動詞の形)です。heb … gekocht のように動詞が離れる文でも、er は最後の gekocht の後ろへ動かしません。まず Ik heb er … というまとまりを保ちます。

3.数だけでなく、数量を表す語とも使う

一、二、三のような数詞(数を表す語)以外にも、een paar(幾つか)、veel(たくさん)、genoeg(十分な数)などと組み合わせられます。以下は、何を数えているかが分かっている場面の表現です。

オランダ語 日本語 数量の意味
Ik heb er één. 一つ持っています。 一つという数をはっきり示す。
Ik heb er een paar. 幾つか持っています。 少数ある。
Ik heb er veel. たくさん持っています。 数が多い。
Ik heb er weinig. 少ししか持っていません。 数が少ない。
Ik heb er genoeg. 十分な数を持っています。 必要な数に足りている。
Ik heb er geen. 一つも持っていません。 数がゼロ。

「一つ」を強調したり、een(不特定の一つを導く語)との読み違いを避けたりするときは、één と書けます。会話では Ik heb er eentje.(一つ持っています)のような eentje もよく使います。ここでは「小さな物」に限らず、単に「一つ」を自然に言う表現です。

4.いくつか尋ねる文でも er を残す

hoeveel は「いくつ・どれくらい」です。数えるものの名前を言わない疑問文でも、er を使います。

  • Hoeveel boeken heb je? — 本を何冊持っていますか。
  • Hoeveel heb je er? — 何冊持っていますか。
  • Hoeveel wil je er? — 幾つ欲しいですか。

疑問文では hoeveel が先頭に出るので、「er の後ろに必ず数が来る」という覚え方だけでは対応できません。数量を尋ねる語が前に出ても、er は文の中に残ると考えましょう。

答えは Ik heb er vijf.(五冊持っています)のような文でも、Vijf.(五冊)のような短い返事でも構いません。短い返事にまで er を無理に足す必要はありません。

5.「ゼロ」も数量として表す

「一つもない」には、普通 er geen を使います。geen は「一つも〜ない」という否定です。

  • Heb je nog kaartjes? — Nee, ik heb er geen meer. — まだチケットはありますか。— いいえ、もう一枚もありません。
  • Ik heb er niet twee, maar drie. — 持っているのは二つではなく、三つです。

二つ目の niet twee は、数の「二」を否定して別の数に訂正しています。「一つもない」と「二つではない」は意味が違うので、同じ否定の形にはしません。

場面の中で見る例文

以下の er は、表の説明や直前の問いで分かる対象を受けています。日本語訳では「そのうちの」を毎回補わず、普段の会話に近い言い方にしています。

オランダ語 日本語 場面・使い方
Hoeveel boeken heb je? Ik heb er vijf. 本は何冊持っていますか。五冊持っています。 本を繰り返さずに冊数を答える。
Zijn er nog koekjes? Er zijn er nog een paar. クッキーはまだありますか。まだ幾つかあります。 返事には、働きの違う er が二つある。
Ik wil er twee. 二つ欲しいです。 売り場の商品を指して注文する。
Hoeveel kinderen hebben zij? Zij hebben er drie. あの人たちには子どもが何人いますか。三人います。 er は人についても使える。
Deze broodjes zijn lekker. Ik neem er nog één. このパンはおいしいですね。もう一つにします。 同じ種類のものを追加する。
Hoeveel heb je er nodig? 幾つ必要ですか。 必要な個数を尋ねる。
We hebben er minstens zes nodig. 少なくとも六つ必要です。 椅子など、必要な数を伝える。
Ik heb er gisteren vier gekocht. 昨日、四つ買いました。 数量の前に「昨日」が入る。
Van deze foto's wil ik er drie afdrukken. この写真の中から三枚プリントしたいです。 どの集まりから選ぶかも示す。
Heb je genoeg borden? Ja, ik heb er genoeg. お皿は足りますか。はい、十分あります。 具体的な数字を言わない数量表現。
Ik heb er geen meer. もう一つもありません。 在庫や手持ちがなくなった。
Ik denk dat we er tien nodig hebben. 十個必要だと思います。 「〜と思う」の中でも er を使う。
Er zijn er maar twee over. 二つしか残っていません。 残りの少なさを示す。

nog één は「さらに一つ」、nog twee は文脈によって「まだ二つ」または「さらに二つ」です。er が数量を決めるのではなく、数量表現や周りの語が「追加」「残り」などの意味を作っています。

よくある間違い

1.日本語で省けるので、er も省いてしまう

本の冊数を、普通の一文で答える場面です。

  • 避けたい形: Ik heb vijf.
  • 基本の形: Ik heb er vijf. — 五冊持っています。

日本語の「五冊持っています」を語順通りに組み立てると、er を落としやすくなります。数量を言い、何を数えるかを言わない普通の文では、er を含む形を覚えましょう。ただし、返事を数だけで済ませる Vijf. は自然です。「単語だけの返事」と「主語・動詞をそろえた文」は分けて考えます。

2.er を文末に付け足す

  • 誤り: Ik wil twee er.
  • 正しい形: Ik wil er twee. — 二つ欲しいです。

er を日本語の「それを」に当てはめて好きな位置に置くことはできません。最初は ik wil er(欲しい)、ik heb er(持っている)という動詞までのまとまりを声に出し、そこへ数を足すと安定します。

3.数える名詞を残したまま、数量用の er も入れる

  • 誤り: Ik heb er drie kinderen.
  • 正しい形: Ik heb drie kinderen. — 子どもが三人います。
  • 別の正しい形: Ik heb er drie. — 三人います。

数量用の er を使うなら、同じ役目の名詞をそのまま後ろに重ねません。ただし、別の働きをする er は名詞と共存できます。Er zijn drie kinderen.(子どもが三人います)の先頭の er は、ここで扱う数量用の er とは違います。

4.「一つもない」を niet だけで済ませる

チケットを一枚も持っていないという意味で比べます。

  • 誤り: Ik heb er niet.
  • 正しい形: Ik heb er geen. — 一枚も持っていません。

er だけでは数が分かりません。「ゼロ」を表す geen が必要です。Ik heb er niet drie.(三枚持っているわけではありません)のように niet が数を否定することはできますが、それは「一枚もない」とは限りません。

5.二つある er を、重複だと思って一つにする

  • この形では不完全: Zijn nog een paar.
  • 基本の形: Er zijn er nog een paar. — まだ幾つかあります。

先頭の er は「〜がある」という文を導き、後ろの er は「話題のもののうち幾つか」というつながりを示します。同じ形でも仕事が違います。単に Er zijn nog koekjes.(まだクッキーがあります)と、ものの名前を言う文も自然です。詳しい区別は次の発展事項で確認できます。

実際に使うときの注意

er は強く読まず、数量に耳を向ける

数量用の er は、丁寧な文章でも日常会話でも使う普通の表現です。くだけた会話だけの省略形ではありません。話すときは軽く、短く発音されるので、最初は聞き取りにくいかもしれません。

Ik heb er DRIE. なら、伝えたい中心は「三つ」という数です。er 自体を大きく強調するより、動詞から数量までを一続きで練習しましょう。日本語訳に独立した単語が現れないからといって、オランダ語でも無音にしてよいわけではありません。

「そのうちの」は理解の手がかりであって、固定訳ではない

Hoeveel kinderen hebben zij? — Zij hebben er drie. は、「あの人たちには子どもが何人いますか。— 三人います」という自然なやり取りです。「子どもの集まりが先にあり、その中から三人を所有する」という意味ではありません。

er は、何を数えているかを会話につなぎ直しています。訳すたびに「それらのうちの」と補うと、かえって不自然になります。日本語では省略し、オランダ語では er を残す、という違いを意識すれば十分です。

場所を表す er とは、文全体で見分ける

  • Ik woon er. — 私はそこに住んでいます。
  • Ik heb er twee. — 私は二つ持っています。

最初の er は場所、二つ目は数量に関わります。er を見たら常に「そこ」と訳すのではなく、後ろに数量があるか、何の話をしているかを確認します。同じつづりの語が複数の働きをすることは、後の学習でも重要になります。

発展:慣れてから整理したい使い分け

ここからは、基本の Ik heb er drie. が使えるようになってからで構いません。まず意味を読み取れるようにし、複雑な文をすべて自分で作ろうとする必要はありません。

1.存在の er と数量の er が一緒に現れる

Er zijn er nog een paar.(まだ幾つかあります)を、二段階で考えます。

  1. Er zijn nog koekjes. — まだクッキーがあります。
  2. Er zijn er nog een paar. — まだ幾つかあります。

一つ目では、先頭の er が存在を表す文を導いています。二つ目では koekjes を言わずに een paar で数を述べるため、数量の er も使っています。

次の二文も区別しましょう。

  • Er zijn drie studenten. — 学生が三人います。
  • Er zijn er drie. — 三人います。

最初の文には studenten という名詞があるので、数量の er は不要です。二つ目の文では、何を数えるかを前の話から受け取ります。したがって、「数字のある文ならいつでも er が二つ必要」という規則ではありません。

2.「三つ」と「その三つ全部」は違う

数量の er は、基本的には「何個あるか」を伝える仕組みです。一方、すでに特定できる物を「あれら」として受ける場合は、ze などの代名詞(名詞の代わりに人や物を指す語)を使います。

  • Er liggen vijf appels. Ik neem er twee. — リンゴが五個あります。二個もらいます。
  • Hier zijn de twee appels. Ik neem ze allebei. — ここにその二個のリンゴがあります。両方もらいます。

最初は五個の中から二個を選んでいます。二つ目は、すでに示された二個を両方とも取ります。数だけ述べることと、特定の物を指すことは同じではありません。

3.どの集まりから選ぶかを van で示せる

van は、ここでは「〜の中から・〜のうち」という関係を示す前置詞(名詞などの前に置き、その関係を示す語)です。

  • Van deze koekjes wil ik er twee. — このクッキーの中から二枚欲しいです。
  • Ik wil er twee van deze koekjes. — このクッキーを二枚欲しいです。

数量の er は「〜のうち」という関係と結びつきますが、文の中の van が必ずすべて消えるわけではありません。どの種類・集まりを指すかを van deze koekjes で明示しながら、er を使うこともできます。

また、Twee van deze koekjes zijn kapot.(このクッキーのうち二枚は割れています)のように、「二枚」が主語になり、その集まりも明示されている文は別の組み立てです。数量があるからという理由だけで er を機械的に足さないようにします。

4.長い文でも、er は数量とのつながりを保つ

従属節(「〜と思う」「〜だから」などの文の一部になる小さな文)では、動詞の位置が変わります。それでも数量の er は使います。

  • Ik weet dat zij er drie hebben. — あの人たちが三つ持っていることを知っています。
  • Ik ben blij omdat we er genoeg hebben. — 十分な数があるので、うれしいです。

dat(〜ということ)や omdat(〜なので)の後ろでは、hebben が後ろに来ています。基本文の er を捨てず、節全体の語順に合わせると考えましょう。

命令文(相手に行動を促す文)にも現れます。

  • Neem er twee mee. — 二つ持っていってください。

日本語では動作を促すときにも目的の物を省けますが、オランダ語ではこの場合も er が残ります。

5.量を表す文すべてに、同じ er を使うわけではない

初心者は、まず本、クッキー、椅子など、一つ、二つと数えられる対象でこの er を練習すると分かりやすくなります。水やコーヒーなど、ひとまとまりの物質として扱うものの量は、同じようには考えません。

  • Hoeveel koffie drink je? — Ik drink veel koffie. — コーヒーをどのくらい飲みますか。— たくさん飲みます。
  • Hoeveel kopjes koffie drink je per dag? — Ik drink er drie. — 一日にコーヒーを何杯飲みますか。— 三杯飲みます。

二つ目では、kopjes(カップ・杯)という数えられる単位が示されています。「多い・少ないという意味があるなら必ず er」と覚えるのではなく、何を、どの単位で数えているかを確かめましょう。数えられない量の受け方や、ervan を含む表現は、er の体系全体を学ぶ段階で合わせて整理できます。

練習のこつ

1.名詞ありの文と、er の文を対にする

身の回りの数えられる物を三種類選び、名前を言う文を作った後で、名前の部分を繰り返さない文に変えます。

  • Ik heb vier boeken. → Ik heb er vier. — 本を四冊持っています。→ 四冊持っています。
  • Ik koop twee broodjes. → Ik koop er twee. — パンを二つ買います。→ 二つ買います。

日本語訳を経由するだけでなく、二つのオランダ語の文を続けて発音します。これで、名詞を抜くときに er を入れる習慣がつきます。

2.問い・普通の答え・ゼロの答えを一組にする

同じ問いに、異なる数で答えてみましょう。

  • Hoeveel heb je er? — 幾つ持っていますか。
  • Ik heb er drie. — 三つ持っています。
  • Ik heb er geen. — 一つも持っていません。

慣れたら nog(まだ)、genoeg(十分な数)、een paar(幾つか)を加えます。数字だけを取り替える練習から、実際に使える数量表現へ広げられます。

3.二つの er は、役目を分けて読む

Er zijn er nog een paar.(まだ幾つかあります)を書き、最初の er に「存在」、二つ目に「数量」と印を付けます。次に Er zijn nog koekjes.(まだクッキーがあります)と並べ、何の名前が省かれたかを確認してください。音読するときは不自然に区切らず、分析するときだけ役目を分けるのがこつです。

関連する文法項目

  • 先に確認: 存在を導く er — 「〜がある・いる」という文の基本を確認し、数量の er との違いをつかみます。
  • 次の段階: er の用法全体 — 場所、存在、数量、前置詞との組み合わせを整理し、複数の働きが重なる文を学びます。

前提概念

オランダ語のEr (Inleidend)A1

この概念を基にした概念

その他のA2の概念