英語の所有格 's:「〜の」を表す形と使い分け
Possessive 's
この記事は、Settemila Lingueの英語文法ツリーの一部です。
まず押さえること
英語で「ジョンの車」のように持ち主を示すときは、名前や名詞に 's を付けて John's car と言います。単数には 's、s で終わる複数形には ' だけを付け、s で終わらない複数形には 's を付けます。「映画の終わり」のような物事の部分・関係では、the end of the movie のように of を使う形もよく使われます。
全体像:日本語の「の」に近いが、同じではない
所有格(「誰のものか」「何に関係するか」を示す形)の 's は、A1の初級段階で身に付けたい基本です。忘れ物の持ち主を尋ねる、家族の家について話す、同僚の予定を確認するなど、身近な会話でよく使います。ここでいう名詞とは、人・物・場所などを表す言葉で、たとえば teacher「先生」、bag「かばん」があります。
日本語の「ジョンの車」と John's car は、どちらも「持ち主 → 持ち物」の順です。ただし、日本語の「の」を何でも 's に置き換えられるわけではありません。「日本の歴史」なら the history of Japan、「台所のテーブル」なら the kitchen table のように、関係によって別の形も使います。
また、「所有」という名前でも、本当に物を所有している場合だけに使うものではありません。Emma's brother は「エマの兄・弟」、the teacher's question は「先生の質問」です。人間関係や、その人が発したもの、担当するものなども表せます。
形の作り方
1.単数の名詞・人名には 's
単数(人や物が一人・一つである形)の名詞や人名に 's を付け、その後ろに持ち物などを置きます。記号 ' は「アポストロフィー」と呼びます。日本語の読点や引用符とは別の記号です。
- John's car — ジョンの車
- my sister's phone — 私の姉・妹の携帯電話
- the student's bag — その学生のかばん
- the dog's name — その犬の名前
my sister's phone は、「私の姉・妹」に当たる my sister をまとまりとして考えると分かりやすくなります。my は姉・妹が誰かを示し、's はその人と携帯電話との関係を示します。
まずは「持ち主を表す部分を作る → その末尾に 's を付ける → 持ち物を置く」という順で組み立ててみましょう。
2.s で終わる複数形には ' だけ
複数(人や物が二人・二つ以上である形)が s で終わる場合は、その s の後ろにアポストロフィーだけを付けます。
- my parents' house — 私の両親の家
- the students' bags — その学生たちのかばん
- the teachers' room — 先生たちの部屋
作る順序が大切です。まず parent「親」を parents「両親・複数の親」にし、その後で ' を付けます。「複数だから 's」と覚えるのではなく、持ち主を表す語がすでに複数形の s で終わっているかを確認します。
次の二つでは、アポストロフィーの位置によって意味が変わります。
- my friend's car — 私の友人一人の車
- my friends' car — 私の友人たちの車
後者の car は一台です。持ち主の人数と、持ち物の数は別々に考えます。同様に、the student's books は「一人の学生の複数の本」です。後ろが複数だからといって、前も複数になるわけではありません。
3.s で終わらない複数形には 's
英語には、s を付けずに形を変える複数形があります。これを不規則な複数形(決まった s の付け方では作れない形)といいます。こうした語が s で終わっていなければ、's を付けます。
| 英語の形 | 日本語 | 作り方のポイント |
|---|---|---|
| the children's toys | その子どもたちのおもちゃ | 子どもを表す複数形に 's を付ける |
| the men's shoes | その男性たちの靴 | 男性を表す複数形に 's を付ける |
| the women's team | その女性たちのチーム | 女性を表す複数形に 's を付ける |
| people's names | 人々の名前 | 人々を表す複数形に 's を付ける |
children 自体がすでに「子どもたち」です。childrens という複数形を作ってからアポストロフィーを付けるのではありません。
4.後ろの名詞に the や my を重ねない
the は、どの人・物のことかが特定できることを示す冠詞(名詞の前に置いて、その指し方を示す短い語)です。John's car では John's が車を特定する役割を果たすため、同じ車を指す the や my をその前に重ねません。
- John's car — ジョンの車
- the car — その車
- my car — 私の車
一方、the teacher's car「その先生の車」は正しい形です。この the は車ではなく、持ち主である teacher に付いています。my father's car「私の父の車」も同じ考え方です。
5.of を使う形もある
of は語と語の関係をつなぐ前置詞(名詞などの前に置いて関係を示す語)です。所有や部分を表す場合、's と違って「説明されるもの → of → その相手」という順になります。
- the end of the movie — 映画の終わり
- the name of the street — 通りの名前
- the roof of the house — 家の屋根
日本語の「映画の終わり」とは順番が逆です。まず the end「終わり」を言い、of the movie「その映画の」と説明を足す、と考えると読みやすくなります。
初級では、人や動物との関係には 's、物事の部分や長い説明には of がよく使われると覚えると便利です。ただし、これは絶対的な区別ではありません。物や組織でも 's を使える場合については、後半で扱います。
場面で覚える例文
持ち主の人数、語尾、後ろに続く物の数に注目してください。訳では、日本語として自然になるように「の」を省いている箇所もあります。
| 英語 | 日本語 | 注目する点 |
|---|---|---|
| John's car is outside. | ジョンの車は外にあります。 | 人名に 's を付ける |
| Is this your sister's umbrella? | これはあなたの姉か妹の傘ですか。 | 持ち主を表すまとまりの末尾に付ける |
| My parents' house is near the station. | 私の両親の家は駅の近くにあります。 | s で終わる複数形の後ろに ' だけを付ける |
| The children's toys are on the floor. | 子どもたちのおもちゃが床にあります。 | 不規則な複数形には 's を付ける |
| What is your dog's name? | 飼っている犬の名前は何ですか。 | 動物にも使える |
| The teacher's bag is on the chair. | 先生のかばんは椅子の上にあります。 | 持ち主は一人 |
| The teachers' bags are in the office. | 先生たちのかばんは職員室にあります。 | 持ち主は複数 |
| I didn't understand the end of the movie. | 映画の最後の部分が分かりませんでした。 | 物語の部分を of で表す |
| Emma's brother works in a hospital. | エマの兄は病院で働いています。 | 所有物でなく家族関係を表す |
| Today's meeting starts at ten. | 今日の会議は10時に始まります。 | 時間を表す語にも使える |
| This isn't my coat. It's Anna's. | これは私のコートではありません。アンナのです。 | 分かっている持ち物を省略できる |
| We're having dinner at my aunt's tonight. | 今夜はおばの家で夕食を食べます。 | 家を表す語を省略した言い方 |
brother だけでは、兄か弟かまでは分かりません。日本語の訳で必要になる年齢差が、英語では表されないこともあります。
よくある間違い
1.複数形の s にアポストロフィーを付ける
- 誤り: I have two cat's.
- 正しくは: I have two cats. — 猫を二匹飼っています。
複数を表すだけならアポストロフィーは不要です。cats は「猫たち」、cat's は「一匹の猫の」です。まず「数を増やしたいのか、誰のものかを示したいのか」を区別します。
2.両親なのに単数の所有格を使う
- 両親を指す場合の誤り: This is my parent's house.
- 正しくは: This is my parents' house. — これは私の両親の家です。
my parent's house 自体は、「父か母のどちらか一人の家」という意味なら文法的に正しい形です。両親二人を指すつもりなら、先に parents にする必要があります。
3.不規則な複数形に s だけを足す
- 誤り: These are the childrens' toys.
- 正しくは: These are the children's toys. — これはその子どもたちのおもちゃです。
children はすでに複数形です。その末尾に 's を付けます。「持ち主が複数なら必ず ' だけ」という規則ではありません。
4.持ち物の前に the を重ねる
- 誤り: The Anna's bag is here.
- 正しくは: Anna's bag is here. — アンナのかばんはここにあります。
この意味では Anna's と the を重ねません。ただし、the girl's bag「その女の子のかばん」のように、持ち主の名詞に必要な the は残します。
5.「その〜」と「それの」を混同する
- 誤り: The dog is wagging it's tail.
- 正しくは: The dog is wagging its tail. — 犬がしっぽを振っています。
its は「それの」で、アポストロフィーを付けません。it's は it is「それは〜です」または it has を短くした形です。his「彼の」、hers「彼女のもの」にも、所有を示すためのアポストロフィーは付けません。
6.日本語の「の」をすべて 's にする
- 誤り: Please use a coffee's cup.
- 正しくは: Please use a coffee cup. — コーヒーカップを使ってください。
ここでは「コーヒーが持っているカップ」ではなく、カップの用途・種類を示しています。coffee cup のように、名詞をそのまま別の名詞の前に置く形を使います。「〜の」と訳せるかどうかだけでなく、どんな関係を表すのかを見ることが大切です。
使うときの注意:音と文脈で見分ける
's の発音はいつも同じではない
所有格の 's は、直前の音によって発音が変わります。複数形の s と同じ仕組みです。次の斜線で囲んだ記号は発音を示します。
- Kate's bag — ケイトのかばん:'s は /s/。「ス」に近い音です。
- John's car — ジョンの車:'s は /z/。「ズ」に近い音です。
- George's phone — ジョージの携帯電話:'s は /ɪz/。語尾に一音節(ひとまとまりの音)が増えます。
より正確には、息だけで出す音で終わる場合は /s/、声の振動を伴う音や母音で終わる場合は /z/ です。ただし、/s/、/z/、/ʃ/、/ʒ/、/tʃ/、/dʒ/ のような「ス・シュ・チ・ジ」系の音の後では /ɪz/ になります。カタカナはあくまで目安なので、単語のまとまりで音声を確認すると確実です。
s で終わる通常の複数形に ' だけを付けても、新しい音は増えません。 parents「両親」と parents'「両親の」は同じ発音です。また、friend's と friends' も通常は同じ発音になります。会話ではアポストロフィーの位置を音だけで聞き分けることはできず、文脈で判断します。
's は「所有」以外の省略形でもある
同じつづりでも、後ろに何が来るかで働きが変わります。
- Anna's coat is blue. — アンナのコートは青色です。ここでは所有格です。
- Anna's tired. — アンナは疲れています。ここでは Anna is の短縮形です。
- Anna's finished her work. — アンナは仕事を終えました。ここでは Anna has の短縮形です。
後ろに名詞があるかどうかは手掛かりになりますが、それだけでは十分ではありません。Anna's a doctor.「アンナは医師です」の 's は is です。「アンナの〜」という関係なのか、「アンナは〜だ」という文なのか、全体の意味から判断しましょう。
発展:基本に慣れてから読む使い分け
ここから先は、初級の段階ですべて使いこなす必要はありません。基本の三つの形を定着させたうえで、読書や会話で出会ったときに確認する項目です。
s で終わる人名はどうするか
一人の名前が s で終わる場合でも、多くの書き方では 's を付けます。
- James's bike — ジェームズの自転車
- Chris's office — クリスのオフィス
一方、新聞社や出版社などの表記方針によっては James' bike のように ' だけにすることもあります。これは複数だからではなく、単数の人名の書き方に関する違いです。「イギリス英語なら必ずこちら、アメリカ英語なら必ずあちら」とは分けられません。指定の方針がなければ James's のような形を基本にし、同じ文章の中では統一するとよいでしょう。
姓で家族全員を表す場合は、まず姓を複数形にします。たとえば the Smiths「スミス一家」から the Smiths' house「スミス一家の家」を作ります。Mr Smith's house「スミスさんの家」とは、持ち主の表し方が異なります。
人以外にも 's を使う
「物には絶対に 's を使わない」という覚え方は正確ではありません。組織、国、時間などにも広く使います。
- the company's website — その会社のウェブサイト
- Japan's economy — 日本経済
- tomorrow's weather — 明日の天気
- a day's work — 一日分の仕事
- two weeks' holiday — 二週間の休暇
最後の例では、期間が two weeks と複数になっているので、s の後ろに ' を付けます。a two-week holiday「二週間の休暇」という別の形では、two-week が休暇の長さを説明する一まとまりになり、week は単数形のままで、アポストロフィーも使いません。
物についても the car's engine「その車のエンジン」は自然な表現です。したがって、's と of の使い分けは、人か物かだけでなく、言い慣れた組み合わせ、文の長さ、何について話しているかにも左右されます。
of と 's はいつでも交換できるわけではない
the company's name と the name of the company は、どちらも「その会社の名前」です。短い会社名や、すでに話題になっている会社を先に出したいときは 's が便利です。
一方、持ち主の説明が長い場合は of を使うと読みやすくなります。
- the name of the person who called yesterday — 昨日電話してきた人の名前
ここでは who called yesterday が「昨日電話してきた」と前の人を説明しています。長い説明全体に 's を付けるより、まず「名前」と言ってから説明を続けるほうが分かりやすくなります。
また、the end of the movie「映画の終わり」のような言い慣れた形は、そのまま覚えるのが実用的です。形だけを機械的に入れ替えるより、自然な組み合わせを少しずつ増やしましょう。
二人で一つを持つ場合と、それぞれが持つ場合
二人が一つのものを共有する場合は、通常、二人目の名前の末尾だけに 's を付けます。それぞれのものを区別する場合は、両方に付けます。
- Anna and Ben's apartment — アンナとベンが一緒に住むアパート
- Anna's and Ben's apartments — アンナのアパートとベンのアパート
後ろの名詞も、共有する一つなら単数、それぞれにあって複数なら複数にします。ただし、実際の文では文脈によって解釈に幅が出ることもあります。誤解を避けたいなら Anna's apartment and Ben's apartment「アンナのアパートとベンのアパート」と繰り返せば明確です。
持ち主が複数の語からなる場合
's は、必ずしも一語だけに付くのではなく、持ち主を表すまとまりの末尾に付けます。
- my brother-in-law's car — 私の義理の兄・弟の車
- the King of Spain's speech — スペイン国王の演説
後者は、スペインが演説の持ち主という意味ではありません。the King of Spain「スペイン国王」全体と演説の関係を示しています。こうした形を見たら、's の直前の単語だけではなく、どこまでが持ち主なのかを確認します。
my sister's friend's name「私の姉・妹の友人の名前」のように、所有格を重ねることもできます。ただし、重ねすぎると読みづらくなるので、長くなる場合は言い換えを考えましょう。
持ち物や場所を表す名詞の省略
何のことかが分かる場合、所有格の後ろの名詞を省略できます。
- Is this your bag? No, it's Tom's. — これはあなたのかばんですか。いいえ、トムのです。
日本語でも「トムのかばんです」を「トムのです」と言えるので、感覚をつかみやすい用法です。ただし、Tom's は名前を勝手に省略したのではなく、後ろの bag を省いています。
家や店、診療所などを表す語を省く言い方もあります。
- I'm staying at my parents'. — 両親の家に泊まっています。
- I have an appointment at the dentist's. — 歯科医院の予約があります。
どちらも特定の場所を指します。家を表す名詞を省いても、parents' のアポストロフィーは複数形の s の後ろに置く点に注意しましょう。
「友人の一人」を表す of と所有格の組み合わせ
of と所有格が同時に現れる形もあります。二重所有格(of と所有を示す形を組み合わせる表現)と呼ばれます。
- a friend of John's — ジョンの友人の一人
- a friend of mine — 私の友人の一人
John's friend は、文脈で分かるジョンの友人を指せます。これに対して a friend of John's は、「ジョンに友人がいて、そのうちの一人」という形で紹介するときに便利です。ジョンに友人が一人しかいないと言いたい表現ではありません。
代名詞(名前などの代わりに人や物を指す言葉)を使う場合は、mine「私のもの」、yours「あなたのもの」などを使います。a friend of me ではなく a friend of mine とする点を、まとまりで覚えましょう。
練習のしかた
1.「持ち主」と「持ち物」を別々に数える
次の日本語を英語にしてみましょう。まず持ち主が一人か複数かを決め、次に持ち物の数を決めます。
- 私の姉・妹の自転車
- 私の両親の車
- その子どもたちの靴
- その先生一人の本数冊
解答例: 1. my sister's bike、2. my parents' car、3. the children's shoes、4. the teacher's books。
特に4では、本が複数でも先生は一人なので teacher's です。前後の数を連動させない練習になります。
2.日本語の「の」がどんな関係か説明する
「ジョンの車」「映画の終わり」「コーヒー用のカップ」を並べ、単に「の」があるからではなく、所有・部分・用途のどれを表すか考えてください。答えはそれぞれ John's car、the end of the movie、a coffee cup です。
形の選択に迷ったら、辞書や読んでいる文章で、名詞同士がどのようにつながっているか確認します。自然な組み合わせごと記録すると応用しやすくなります。
3.同じ音になる形を書き分ける
my friend's house「友人一人の家」と my friends' house「友人たちの家」を声に出し、その後で両方を書いてみましょう。通常は同じ発音になるので、聞こえた音だけでなく、持ち主の人数からつづりを決める練習になります。
まずは 単数なら 's、s で終わる複数なら '、それ以外の複数なら 's の三つが、迷わず選べれば十分です。発展的な表現は、実例に出会うたびに少しずつ足していきましょう。
関連する文法
- 先に確認したい項目: 所有形容詞:my・your・his など — 「私の」「あなたの」のように、名詞の前で持ち主を示す言葉です。my bag「私のかばん」と Anna's bag「アンナのかばん」を比べると、同じ位置で働くことが分かります。